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教員が語る同志社女子大学の学び

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「演じる」
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「探偵になる」

演劇・演劇文学について
テキストとパフォーマンスの
両面から探索していきます。

英語英文学科

Timothy L. Medlock准教授

25年以上続けている狂言は、
シェイクスピア劇にも通じます。

幼いころから劇を観ることも演じることも好きだった私は、母国、英国の大学でギリシャ悲劇を中心とした西洋古典の研究をしていました。そんななか、蜷川幸雄演出によるギリシャ悲劇「王女メディア」の舞台をロンドンで観ました。
作品はもちろんのこと、主役を演じる歌舞伎の女形、嵐徳三郎に強烈なインパクトを受けました。もともと日本に興味があり、柔道と空手も習っていた私は、歌舞伎の面白さに触れ、「日本に行って演劇や歌舞伎を研究したい」そんな憧れを抱くようになりました。

1994年に念願をかなえて来日。能楽を観に出かけたときに、初めて狂言を見て、また衝撃を受けました。力のある言葉とムダのない動き、声の使い方に圧倒され、狂言に魅了されました。シェイクスピア劇にも通じるシンプルなステージで、役者の動きと言葉ですべてを表現する独創性にも惹かれました。

その翌年から現在まで、25年以上狂言の稽古を続け、狂言師・茂山あきら先生らが立ち上げた、能法劇団で演劇活動をしています。マーク・トゥエインの小説をアレンジした「トム・ソーヤ塀を塗る」や、フランスの演劇をベースにしたバイリンガル狂言「濯(すす)ぎ川」など、日本の古典芸能と西洋の演劇との融合を目指しています。 残念ながらアマチュア歌舞伎がないために歌舞伎の舞台に立つ機会はありませんが、日本舞踊と歌舞伎舞踊の稽古にも取り組んでいました。

日本の古典芸能以外の演劇活動も行っています。バイリンガルで演じる「ハムレット」に出演したこともありますし、友人とバイリンガルのコントを作って、国籍を問わず多くの人に楽しんでもらえるショートコメディをさまざまな場所で演じてきました。

パフォーミングだけでなく、日本の古典芸能の技術を使って西洋のテキストをどう脚色できるのか、そんな日本の芸術と西洋のテキストの融合プロジェクトにも取り組んでいます。例えば、独特のリズムを持つ狂言の台詞をどう英語で表現するのか。ひとつは日本語を理解することを重視し、もうひとつはギャグを入れながら英語で狂言を存分に楽しむ、そんな翻訳にも挑んでいます。

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英語の台詞を考え、演じることで、
想像力と創造力、表現力を高めていきます。

長くシェイクスピアを読み、演じてきた経験を生かして、本学科の「シェイクスピア・プロダクション(SP)」でディレクターを務めています。SPは英語英文学科の3年次生・4年次生を対象にシェイクスピア劇を原語で上演する科目で、70年近い歴史を誇る活動です。シェイクスピア劇は単なる古典ではなく、時代を超えて存分に楽しめる文学・演劇であり、そして遊びであることを学生に体感してほしいと考えています。

そんな私のゼミが掲げるテーマは「テキストとパフォーマンス」です。テキストを読むことで人生に何かがもたらされ、テキストをもとにパフォーマンスをすることで観客の人生に何かをもたらす、そうしたつながりを感じられるのが演劇の醍醐味だと考えています。自分と人とテキスト、パフォーマンスがつながる奇跡的な瞬間を、学生とともに追究しています。

3年次では、英語で書かれた詩や物語、絵本の語りをゼミのメンバーで読み進めていきます。有名なナレーターの語りを聞き、どのように声を使い、どう表現するのかを真似てみたり、映画から印象的な場面を取り上げてナレーションを担当してみる、といった言葉での表現を身につけていきます。セリフのタイミングやテンポを真似ながら言葉で表現するうちに、登場人物の視点でセリフを語れるようになることを目指します。

次は芝居への挑戦です。春学期と秋学期にワークショップを行いますが、いつも学生に伝えるのは「言葉の探偵になってください」ということです。テキストに書かれたこと、登場人物の心を深く探ってほしい。言葉を読み込むことで登場人物が何を考え、どんな意志を持っているかなどの心理面を理解し、そのうえで演じるようにと伝えています。

小説や戯曲を読むとき、私たちは自分の視点で登場人物を見ますが、演じるときは、その人物の視点を通し「何を見て、どう考え、どのように感じているか」を考えなければなりません。演じることは、理解力を深めることにつながります。
学生の多くは若い女性の役を演じたいと言いますが、それはあまりに簡単過ぎます。老女や中年男性、あるいはロシア人伯爵、厳格なドイツ人といった自分自身とは遠い人物を演じることで、新しい自分を発見していく。そのうちに役になりきり、みんなの前でパフォーマンスができるようになっていきます。

ゼミ生は決して芝居が好きな人ばかりではありません。「どうして私のゼミを選んだのか」と不思議に思うほどシャイな学生もいます。彼女たちは「人前で話をするのが苦手だからこそMedlockゼミで芝居に挑戦し、人前で話せるようになりたい」と言います。また教員志望の学生は「ゼミでの経験が教育実習や将来にも役に立つと思ったから」と話してくれます。確かに、教員はある種のパフォーマーだと私も思います。

4年次では、卒業論文を執筆するのではなく、卒業公演を行います。例えばオスカー・ワイルドの喜劇「真面目が肝心」、映画「マイフェアレディ」の原作であるジョージ・バーナード・ショーの「ピグマリオン」など、本学のラーニング・コモンズで卒業研究発表会として公演してきました。 「新しい私を見つけたい」と意欲的に取り組んできた学生の姿をステージで観るときは心を揺さぶられます。

演じることで、英語運用能力の向上のみならず、作品から西洋文化への理解を深め、想像力と創造力、表現力を磨いていくことができます。そして仲間と公演をつくりあげるためのチーム運用能力や、コミュニケーション力も養っていきます。社会に出たときに最も必要とされる力です。

就職活動中に「ゼミでどんな研究をしたか」と面接官に問われ、こう答えた学生がいます。「私たちは表現の難しさと可能性を学び、同時に面白さや喜びを見つけることができました。そこから得られるものは、単なる情報ではなく、人間関係の構築など人生に役立つ、とても奥深いものです」と。

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学生に対する教職員のサポートのきめ細やかさは
特別だと思います。

私は英語英文学科で、学習意欲と英語能力の高い学生を対象としたAES(Accelerated English Studies)コースと、シェイクスピア・プロダクション(SP)を中心に携わっています。さまざまな側面から学生と関わり、大学とつながるなかで同志社女子大学の良さを実感しています。

まず大学の雰囲気がよく、気さくで意欲的な学生が多いと感じています。さらに職員のみなさんが学生や教員に対してとても親切です。学内全体で他者に対する細やかな気遣いが行き届いていることを感じ、それらは特別なことだと思っています。 授業のみならず、あらゆる場面で女性がリーダーシップを持って活動できるのも女子大学の良さだと感じています。特に、女子大において、シェイクスピア劇を女性だけで演じることの意味も大きいと思います。
実はシェイクスピアが活躍した時代、役者はすべて男性で、男性が女性に変装して演じていました。本学のSPとは逆です。シェイクスピア劇の多くは人生の演劇性が描かれ、ジェンダーがテーマになっています。
本学ではだれもがハムレット、ジュリエット、ロメオを演じるチャンスがあります。そうした環境でシェイクスピア劇の原語上演を70年続けてきた本学の歴史の厚みが素晴らしいと思います。

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受験生のみなさんへ

高校生活では、決められていること、やらなければならないことがたくさんあるでしょう。大学はそうではなく、あなたらしさを発見し、あなたの本当にやりたいことを見つけられる場所です。だからみなさんに、この言葉を贈ります。フランス文学からご紹介します。
“You have to cultivate your garden. Here is a place where you sow the seeds you need to bloom in the way you wish”
「あなたの庭を耕しましょう。あなたが望む花を咲かせるために、必要な種をまく場所がここにあります。」

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Timothy L. Medlock准教授

表象文化学部 英語英文学科 [ 研究分野 ] テキストとパフォーマンス

研究者データベース

卒業講演のテーマ例

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卒業講演のテーマ例

  • Blithe Spirit by Noel Coward (陽気な幽霊)
  • they studied The Importance of Being Earnest by Oscar Wilde (まじめが肝心)
  • Pygmalion by George Bernard Shaw
  • Lady Windermere’s Fan by Oscar Wilde.