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教員が語る同志社女子大学の学び

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「イギリス」
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「日本」
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「教育」

大いにチャレンジしてください!!
30年以上培ってきた知識・経験を
みなさんに伝えていきます。

英語英文学科

秦 由美子教授

1980年代後半から、研究対象として見てきた英国の大学改革。
日本の高等教育と比較し、研究してきました。

イギリスの高等教育と、パブリック・スクールを中心とした中等教育の研究を30年以上続けてきました。おおよそ5層(伝統的大学、旧・新市民大学、新構想大学、私立大学、上級工学カレッジ)に分類されるイギリスの高等教育機関の各層の特色や、意思決定の枠組、補助金配分方法、さらに、1992年の大学一元化等について、教育行政に携わるイギリスと日本の要となる方々のインタビューや研究調査を行い、日本の高等教育との比較を実施してきました。

私は学生時代に英文学を学び、卒業後はアメリカ大使館に約10年間勤務しました。
そのとき、アメリカ人が人生に何度かイギリスを訪れて、自分のルーツを探ろうとする姿を目にしました。
また、当時のイギリスは、サッチャー改革によって社会構造が変わり、大学民営化に伴い補助金が削減されるなど大きなうねりの中にあり、「イギリスの大学改革をすべて自分の目で見ていこう。いつか日本で役に立つはずだ」と考えた私は、イギリスの大学院へ進学し、比較教育学を研究することにしました。

イギリスで行われた教育改革、大学の独立法人化をつぶさに見て、その課題や展望を追究してきた研究成果は、日本で生かすことができました。2004年の国立大学法人化にあたり、国立大学協会の企画審議会委員として、また、研究者・専門家の立場でも教育行政に携わりました。

イギリスと日本の大学教育の相違点は3点あります。まずは修業年限です。日本では4年制で教養課程と専門課程を学ぶのに対し、イギリスでは中等教育つまり高校卒業時点までに教養教育を終えてしまい、大学は3年制で専門課程のみに専念します。教養を身につけて入学した学生が教員と丁々発止の議論をし、相当量の課題に向き合います。
次に、イギリスではほとんどが公立大学である一方、日本の高等教育は私立大学のバックアップが欠かせないという点です。そして最後は、イギリスは日本と異なる階級社会であるなど、社会構造が異なる点です。そのため、単純に両国の高等教育を比較することはできませんが、それぞれの違いを眺めたときに、私は日本の大学教育における最重要課題はグローバリゼーション、グローバル人材の育成だととらえています。このコロナ禍においても、日本は、もっと広く海外に目を向け、世界の研究者と建設的な議論を重ねていくべきであると考えます。特に、アジア諸国がグローバル化に力を入れる中、まったなしの課題だと考えています。

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そこで私は、日本の大学とイギリスの大学との学術交流に力を入れてきました。オックスフォード大学をはじめ、ヨーク大学、サセックス大学から教授を招き、今後の大学教育について国際比較をしながら講演をいただき、大学院生に英語での発表をしてもらうなど、国際交流企画を立案し、活動を続けてきました。
また、英国大学協会と日本の国立大学協会に働きかけ、両協会の協定締結実現に向けて裏方として働き、共同研究も行っています。

「ギャップイヤー」も私の研究テーマのひとつです。ギャップイヤーは大学入学前に国内外で社会体験活動を行う期間のことで、イギリスをはじめ欧米で実施されています。日本でも大学の秋入学が議論になった際にギャップイヤーが注目されましたが、教育制度の足腰が弱く未だ実現できていません。この落差が日本のグローバル化の遅れにつながっていると思っています。
「ギャップイヤー」については、NHKのクローズアップ現代でも取り上げられ、私見を述べました。
また、授業の後に「先生が研究されてきたギャップイヤーに興味を持ちました。時間をつくって私も社会体験活動に挑戦してみたいです」と笑顔で報告してくれる学生もいます。グローバルな視点を持って行動する学生が一人でも増えてほしいと願っています。

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●NHK クローズアップ現代〜人生に寄り道を〜
(平成25年5月21日(火)放送)

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教育学のみならずイギリスの多様な文化を追求する研究室です。

授業ではデータやエビデンスを紹介するなかで、学生が「面白そう」と自分から動き出す、そんな自律的な学びを大切にしています。また、情報過多な現代社会において、重要な情報を選別できる能力もつけてもらいたいと考えています。

英語英文学科では、英語運用能力の向上に向けて少人数で英語4技能を指導しており、私は現在、リーディングの授業を担当しています。リーディング力はもちろんのこと、英語圏の海外留学に強いTOEFLを重視し、ミニテストを取り入れて弱点の理解と強化を進めるなどTOEFLのスコアアップを目指した授業も行っています。英語は忍耐力が必要な学問なので、やはり努力を重ねる学生は着実に伸びています。

2021年4月に本学に着任したばかりなので、今年度は3年次生・4年次生のゼミナール科目は担当していませんが、2022年度からの開講予定のゼミナールの指導を楽しみにしています。
ゼミでは私の持っている知識をすべて伝達し、その中でゼミ生それぞれが関心のあるテーマを取捨選択して、卒業論文に取り組んでほしいと考えています。私の専門である教育学だけでなく、イギリスの食文化や階級制度、またイギリス王室と日本の皇室の比較など、多様なテーマで学生が自主的に研究できるよう指導したいと考えています。
世界を見渡すと、確かにアメリカはビジネスで最先端を走り、パワーもありますが、アメリカ一辺倒ではなく、イギリスへの関心ももっと持ってほしいと思います。イギリス人は謙虚さを持っており、人との関係を大切にする国ですので、日本人にとって親しみやすいのでは、と感じるのです。

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他者の幸せを心から願う学生がいる、それが本学です。

同志社女子大学は学生に対するケアが手厚く、もし、私がもう一度大学生活を送れるものならば、本学で学びたいと思うほどです。これほど親身になって教員が指導をし、職員が学生一人ひとりを大切に支援する大学をほかに知りません。社会に出たときに、どれだけ自分たちが丁寧にケアしてもらっていたかがわかるのではないかと思います。

以前、学生にアンケートをとり、「あなたの生きる目的は何ですか」とたずねました。すると「人を幸せにすること」、あるいは「周囲の人に幸せになってもらうこと」という答えが非常に多く、頭が下がる思いをしました。他者の幸せを願うことができる学生がたくさんいる。まさに同志社女子大学の伝統、教育のありようがよくわかります。自分自身と周囲の幸せを支え、社会で強く生きていける女性に育ってもらえるよう、30年以上培ってきた私の知識・経験をすべて伝えていければ、と願っています。

学生へのアンケートでは、将来の夢についてもたずねました。手に届く範囲での目標が多く、もっと多様で大きな夢を持ってもいいのではないかと感じました。ライフ・コースに関して年限としての縛りが強固で、遠回りを余り許容しない日本の社会ですが、意欲的に自分の夢にチャレンジする学生を心から応援したいと考えています。

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受験生のみなさんへ

学生を中心とした、学生目線での教育を行っている大学が、同志社女子大学だと思います。また、女性が伸び伸びと学業や日々の生活を行うことができる場所が女子大学です。教職員が一体となって学生の成長をサポートしてくれるこの安全で安心な環境の中で、存分に自分の好きなことを追求してください。

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秦 由美子教授

表象文化学部 英語英文学科 [ 研究テーマ ] 教育を中心としたUKの文化

研究者データベース

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卒業論文テーマ例

  • 『和泉式部日記』の特質 ―〈超越的視点〉をめぐって― 
  • 『和泉式部日記』における女の〈精進〉 ―「ことづく」という言葉に着目して―
  • 『和泉式部日記』の展開 ―見送られた「折」からの一考察― 
  • 『和泉式部日記』における「折」 ―「五月雨」の贈答を起点として―
  • 『和泉式部日記』における文物 ―円座、薫物を端緒として―
  • 『和泉式部日記』の叙述態度 ―〈雨〉の描写をめぐって―
  • 『和泉式部日記』における女の手紙
  • 『和泉式部日記』論 ―師宮の造型を巡って―
  • 『和泉式部日記』における小舎人童 ―文遣いという役割に着目して―
  • 『和泉式部日記』における乳母考
  • 『和泉式部日記』における「ほととぎす」の表現機構
  • 『和泉式部日記』の和歌表現 ―宮をつなぎとめる女の詠歌に着目して―
  • 『和泉式部日記』の贈答歌考 ―『白氏文集』の引用をめぐって―
  • 『和泉式部日記』表現論 ―「憂し」「つらし」という言葉に着目して―
  • 『和泉式部日記』女と帥宮の関係が恋になるまで
  • 『和泉式部日記』における手習
  • 『安文学に描かれる装束ー「小袿」に着目してー
  • 『源氏物語』宇治十帖 起筆の方法
  • 三人吉三廓初買論ー因果という視点からー
  • 星新一『竹取物語』論〜独創性に着目して〜