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教員が語る同志社女子大学の学び

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「国際語」
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「学習法」

国際語としての英語と
ストラテジーを機能させ
新しい英語を追究しています。

英語英文学科

若本 夏美教授

固定観念から抜け出せば、英語学習は楽しくなります。

英語学習に海外留学は不可欠か。答えはNoです。海外留学をしていないから能力が伸びないとあきらめたり、挫折する学習者がいますが、学習方法を工夫すれば、国内でも十分に英語運用能力を伸ばすことができます。

第二言語教育の専門家である私は、英語学習ストラテジー(学習方法)と学習スタイル(パーソナリティ)の関連性について研究を行っています。国際語としての英語をどう「学び」、どう「教える」かをテーマに、ネイティブスピーカーのように話すのではなく、一人ひとりの個性に応じた学び方を探究し、英語運用能力の向上を目指すものです。
プロジェクトとして取り組んだ結果、国内での学習で着実に英語運用能力が伸びることが明らかになりました。研究と実践を統合し、高校の英語科の教科書も共著で執筆しています。

学習方法のポイントは、勉強に時間をかけることです。私自身、年齢を重ねてからカナダのトロントに留学し、直近ではイギリスのオックスフォードで客員教員として時間を過ごしました。そこでたどり着いたのは「なぜ海外留学をしていると英語運用能力が伸びるか」の答えです。それは、留学をしていることで、すべての時間を勉強に充てられるから。すなわち、日本では多くの学生が勉強に費やす時間が足りていない、そして大学の授業だけで英語運用能力を伸ばそうとしているからです。勉強の時間を持つことがストラテジーの基本です。

もうひとつのポイントは、国際語としての英語の習得を目指すことです。「ネイティブスピーカーのような英語を話したい」という気持ちは尊重しますが、そこを目指すと途中で挫折しがちです。世界では7割以上がノンネイティブスピーカーであり、私自身がカナダとイギリスでの生活で経験した通り、ネイティブスピーカーのようなきれいな英語は求められません。
日本人が外国人とのコミュニケーションでつまずきやすいのは、きれいに話さなければならないという思い込みがあるから。固定観念から抜け出せば楽になり、英語学習が楽しくなります。国内でそれを実感できるよう、教育、学習において国際語としての英語を掲げています。

さらに「使う」ことも大切です。従来の第二言語教育においては「学ぶ」が重視されがちでしたが、国際語としての英語が主流になるなか、実践で「使う」ことがより重要です。英語は決してツールや武器ではなく、その人の人生を豊かにするリソースだと私は考えています。資源を眠らせるのではなく、積極的に使うことで自分の人生を切り拓く役目を担ってくれると思います。

大切なのは、意思疎通ができること。「なぜ英語を勉強するのか」と質問を受けることがよくありますが、私は最近「国際平和のためだ」と答えています。飛躍しているかもしれませんが、コミュニケーションがとれてお互いの考えや思いを理解することは、争いごとをなくす一歩になるかと思っています。

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学生による学生のためのゼミで、多様な能力を伸ばします。

「国際語としての英語」をテーマに掲げる若本ゼミ、通称、若ゼミでは、30ページの英語の卒業論文を執筆する決まりです。ただし、ゼミは学生中心の、学生のためのもの。ゼミ内で自律的にスタディグループを形成し、学生が互いに助け合い共同作業を通して卒業論文に取り組んでいます。
論文の書き方や研究に欠かせない統計分析の手法は私が指導しますが、まずグループ内で互いのドラフトを読み、コメントを返して指摘し合い、論文の精度を上げていきます。かなり厳しい指摘もありますが、それは信頼関係がゼミ内で培われているからだと言えます。
どうすればもっと積極的に取り組める授業になるかなど、さまざまな観点から国際語としての英語を研究しており、毎年素晴らしい卒業論文が仕上がっています。

学問研究と並んでゼミ活動にも力を入れており、「パイオニアたれ」をモットーに、学生主導で毎年新しいゼミ活動に挑戦しています。
例えば、大阪府の中学校でゼミ生が出前授業を行ったことがあります。3年次生と4年次生が小グループを作り、中学校の全6クラスを対象に、オールイングリッシュで授業を実施しました。また京都府の小学校では、外国語学習のモデルを示す取り組みとして、1年生から6年生までの各クラスに3人ずつゼミ生が入って英語の授業を行いました。教職志望の有無に関わらず、ゼミ生にとっては非常によい経験になったようです。
地域の学校の生徒を本学に招き、ラーニング・コモンズを英語のテーマパークのようにしつらえ、みなさんに英語学習を楽しんでもらったこともあります。こうしたイベントの企画・運営はすべてゼミ生が手がけます。ゼミで「コーチ」と呼ばれる私は、文字通りコーチとしてサポートするだけ。主役はプレーヤーである学生たちです。
よく学び、よく遊び、「世界一のゼミ」を目指す私たちは、アクティビティも大切にしています。秋のビッグイベント大学祭EVEでは毎年模擬店を出し、夏の祇園祭にはみんなで繰り出すなど、京都の大学らしい有意義な時間を過ごしています。

これら活動を通して英語運用能力のみならず、リーダーシップやコミュニケーション力、課題解決力を身につけた学生たちは、就職活動にも自律的に取り組んでいます。一般企業へ就職するゼミ生、教員になる学生もおり、それぞれが自分の目指す進路へと進んでいます。 

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英語でコミュニケーションをするには理想的な環境です。

英語英文学科は、少人数教育のよさを生かし、一人ひとりが積極的に英語を使うことのできる学科です。ファーストネームで呼び合うことのできるリラックスした雰囲気があり、英語でコミュニケーションするには理想的な環境にあります。授業は基本的にオールイングリッシュ。3年次生、4年次生のプレゼンテーション、ディスカッション、オンラインの授業もすべて英語で行っており、海外留学をしなくても、高度な英語運用能力が身につきます。
入学直後は少し固い学生もだんだんと環境に慣れ、能力が伸びていきます。TOEICのスコアは、3年次生で平均800点(ゼミ単位)ほどになっています。

学びはもちろんのこと、ゼミ活動もイベントも、仲間と力を合わせて思う存分取り組むことができるのは同志社女子大学のよさでしょう。一人ひとりが成長できる機会がたくさんあり、学生同士が励まし合い、互いによい刺激を与えながら伸びていく、安全で心地よい場です。

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受験生のみなさんへ

Never miss an opportunity to be fabulous. 「光り輝くチャンスを見逃さないで」というアメリカの起業家ティナ・シーリグさんの言葉で、若ゼミのモットーです。自ら手を挙げて、何でもやってみましょう。同志社女子大学には学生一人ひとりが活躍できる場面やチャンスが豊富にあります。それを見逃さないで、光り輝いてください。

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若本 夏美教授

表象文化学部 英語英文学科 [ 研究テーマ ] 国際語としての英語のための学習方略・スタイル

研究者データベース

卒業論文一覧

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卒業論文テーマ例

  • The Characteristics of Good Language Partners: The Relationship Between the Classroom Environment and Students' English Proficiency
  • What Does Debate Class Give to Japanese High School Students? Exploring the Best-Fit Strategies in Debate Class
  • Language Ability of Musicians in an Amateur University Orchestra: Are Good Musicians Adept at Listening to English as Well?
  • Avoid a Catch 22 and Activate Your Confidence Booster: Exploring the Best Contributing Factor in Encouraging Students With Low Self-Efficacy
  • All the World's a Stage, and You Can Perform as an English Speaker: The Positive Effects of Performing Drama
  • Learning English to Live In a Mosaic Nation: Seeking Ways to Improve English Skills for Immigrants in Canada
  • Why Do People Learn a Foreign Language? A Comparative Study of Japanese Learners of English and Australian Learners of Japanese
  • The Effects of Streamed Classes With a Small Number of Students: Looking for the Ideal Learning Environment for Japanese Learners of English
  • The Darkest Place Is Under the Candlestick: Metalinguistic Knowledge and the Bar of Foreign Language Learning
  • Falling in Love With English: Triggers for Arousing Interests of Japanese Junior High School Students in Learning English
  • Up to Teachers! What Effects Can Praise Have on English Learning?
  • You Are a Jekyll and Hyde? The Relationship Between Language and Personality
  • A Hybrid English Learning Method: Enjoying Learning English Through Watching Movies
  • If There Is Nutritious Food You Don’t Like, Try Combining It With One You Do Like: The Relationship Between English and Favorite Pastime
  • Everybody Has a Talent, But Ability Takes Hard Work: English Acquisition Needs to Elaborate Your Method
  • To Speak or Not to Speak, It Is A Matter of Course: Strategies to Become a Global Citizen
  • Changing Attitudes and Triggers to Change: Do Images of Spoken English Change in College?
  • Language Transfer in Foreign Language Acquisition: Which Is More Difficult, Similarities, Partial Similarities, or Major Differences?
  • Learning English Is a Box Of Chocolates: Which Time Slot Is The Prime Time for Studying English at School?
  • How Can Japanese Students Make Spiderman's Mask? The Optimal Classroom Milieu for Japanese Students to Wear Positive English Persona