声優
日本語のプロとして、
言葉にこだわり、声に想いを乗せていく。
中学時代からの夢である「声優」という仕事に就いた卒業生にインタビュー。大学で日本語に深く向き合った経験が、声優として奮闘する日々にどのように生きているかや、後輩に伝えたいメッセージなどを語っていただきました。
中学時代の直感を信じて、
まっすぐに進んだ、声優への道。
演じることに興味を持ったきっかけは、中学時代の演劇部での経験です。初めて舞台に立ってお芝居をしたとき、「私にはこの道しかない!」と直感しました。アニメが好きだったこともあり、次第に声優の道を志すように。「日本語を勉強することが、表現力アップにつながる」という先生からのアドバイスが後押しになり、 日本語日本文学科への進学を決めました。学科で日本語を広く学びながら、在学中に声優養成所のレッスンも受講し、今年に入って現在の事務所に所属。今はオーディションやボイストレーニングに全力で取り組み、成長を重ねているところです。
大学で得た学びを生かして、
深く理解し、正確に読む。
声優というと、アニメ業界をイメージする方が多いかもしれませんが、実は活躍の場はさまざま。私自身は今、オーディオブックのオーディションに力を入れています。聞く人に楽しんでもらうためには、私自身が作品を深く理解することが大切。作品の細部にまで意識を行き渡らせ、表現の機微を読み取る際に役立っているのが、大学で「日本語教育」について学んだ経験です。留学生に日本語を教える経験を積んだことで、「てにをは」の使い分けや修飾語がどこにかかるかなど、文章の細かい部分を正確に捉える力が向上。今の仕事に生かすことができています。
留学生の何気ない質問が、
言葉に向き合う大切さを、教えてくれた。
「日本語にまっすぐ向き合う」ことの大切さをしったのは、留学生といつものように話していたときのこと。「あれ・これ・それって、どうやって使い分けるの?」と尋ねられ、正直すごく答えに困りました。「いつも感覚的に使っているけれど、日本語を正確に理解して相手に伝えるって、こんなに難しいんだ」。そう気づいた私は、改めて日本語について深く考え、どうすれば分かりやすく伝えられるかを模索。この経験から、以前より一歩深く言葉に向き合う姿勢が身についたと感じています。
一言一句、繊細な表現にこだわって、
創造的に、仕事を成し遂げたい。
近年はYouTubeなどのメディアが発達して、誰でも気軽に映像を撮影し、発信できるようになってきました。ナレーターに渡される台本も、専門のライターが書いたものばかりではなくなってきています。そういった背景もあり、ときにはいただいた台本に、少しわかりにくいと感じる箇所や、違和感を覚える箇所があることも。そんなときは、言葉に向き合ってきた大学時代の経験を生かして、より伝わりやすい言葉や表現を提案することもあります。渡された台本をただ読み上げるのではなく、日本語のプロとして、よりよい作品づくりに貢献できる声優でありたいと思っています。
言葉の奥にある想いを、声に乗せて。
人間にしかできない表現を追及。
最近はchatGPTなどの生成AIが話題ですが、そのトレンドの波は声優業界にも広がっています。ニュースをAIが読み上げたり、ナレーションの仮音声がAIで作成されていたり。そんな時代だからこそ、人間にしかできない表現を追及したい。文字を読むだけではなく、想いを声に乗せて届けられる、そんな声優に成長していきたいと思っています。そしていつか、同志社女子大学のPR動画などで、ナレーションを務めるのが私の夢。声優の土台を築いた母校を、自分の声で紹介してみたいです。