
保育士
教えるのではなく、一緒に考える。
こどもと探す、保育のかたち。
在学中から積極的にこどもたちと触れあい、現在は複数のクラスを訪れて担任をサポートする保育士として活躍する卒業生にインタビュー。こどもたちの成長に喜びとやりがいを感じながら、自分なりの理想の保育を模索する日々について、お話を聞きました。
こどもの成長を見守りたくて、
保育士になることを決意。
元々こどもとかかわる仕事に興味を持っていた私。大学ではこどもと一緒にワークショップを行うボランティアや、絵本作りのインターンシップ、水泳教室のインストラクターやインターナショナルスクールでのアルバイトを経験。授業にとどまらず、課外活動も含めてこどもと積極的に触れあうことを大切に過ごしました。特に心に残っているのは、保育園実習での出来事です。ある日の給食時間、私の隣に座っていたのは、好き嫌いがとても多い子。「がんばって食べてみよう!」と励まし続けたところ、その子が初めて野菜を食べる瞬間を見ることができ、改めてこどもの成長に立ち会う素晴らしさを実感しました。
保育士に必要な演奏スキルや、
今に役立つ発達支援の知識を修得。
4年間の学びの中で印象に残っている授業のひとつが、「ピアノ奏法」という授業。ピアノ初心者の私が弾けるようになるまで、学科の仲間と先生たちが根気強く教えてくれたことで、苦手意識を克服できました。また、発達心理学の授業で得た学びも、保育士になった今、とても役立っています。授業では支援が必要なこどもへの対応方法や、発達障がいの有無を見極める診断方法を学修。こどもたちと接するなかで「これ授業で聞いたな」「テストで出たな」と感じることが多く、保育に迷ったときの判断基準になっています。
自分以外の保育に触れ、
学び続ける毎日が楽しい。
現在は、さまざまなクラスの様子を見回りながら、クラス担任をサポートする業務を担っています。年齢の異なるこどもたちと触れあえること、担任ごとに異なる保育のかたちを知れることが、この業務のおもしろさ。ほかの先生がこどもたちとどう向き合っているのか、こどもたちに学びを与えるためにどんな工夫をしているのかを、日々間近で見ながら、「こういうケースには、こんな対応法があったんだ」と気づいたり、「こんなときは、どうしたらいいんだろう」と考えたり。日々の保育を通じて、学び続けるきっかけをもらっています。
「先生みたいな、保育士になりたい!」
こどもたちの言葉が、自信につながった。
昨年度の卒園式、3年間担当してきた5歳児クラスのこどもたちを、送り出したときのこと。将来の夢を発表する場面で、こどもたちが口々に“大人になったら、先生みたいな保育士になりたい”と言ってくれました。こどもたちの言葉だけでも、とてもうれしかったのですが、その様子を見た先輩から「良い保育をしていた証拠だね」という言葉をいただけたことも印象に残っています。真摯に保育に向き合ってきた努力が実ったことがうれしく、これからも「先生みたいになりたい」と言ってもらえるような保育を続けていこうと、決意を新たにした瞬間でした。
こどもたちが成長できるように、
「一緒に考える」保育を。
何か問題が起きたとき、こども同士が揉めてしまったとき、私は一方的にこどもを注意したり、「こうしなさい」と指示したりするのではなく、「なぜ、そうしたの?そう思ったの?」と問いかけるようにしています。行動や物事に隠れた理由を問うことで、こどもたちの考える力、伝える力を伸ばすことができますし、時には大人が思い込みだけで状況を見てしまっていた、と気づかされることも。私なりの「こどもと一緒に考える」保育を通して、こどもと大人が学びを与え合って前進していける日々を、つくりあげていきたいと思っています。