ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年
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同志社看護 第4巻2019年
臨床におけるナラティヴ実践のすすめ言われて怒らないお客さんはいませんよね。つまりは,ラジオは人間が作ったものなので,隅から隅までわかってるわけです。ところが人間の体は人間が作ったものでないので,仕組みが完全に分かっているわけではない。なのに医者はあまり「分からない」という言葉は使いません。それは「分からない」を連発すると患者さんから愛想を尽かされるからかもしれないし当の患者さんが,医者に「分からない」と言われると不安になるという事情もあり,わかってるフリをするという側面があるのだと思います。この辺は医者も患者も事情を分かっていて演技している節があります。でも現実的な報酬ということになると,治らないのに報酬を取られるのは,ある程度仕方がないと諦めていても,患者側からするとモヤモヤしたものが残る。医者からしても,報酬の根拠というのがはっきりしてない,まあ努力報酬というのでしょうか。そのへんの事情が悪魔の表情が何となく弱々しいものになっているのかもしれません。さて普段の表情というのをもう一度みてみましょう。(スライド4)。先ほども言いましたように医者が科学者の顔をしているのがふだんの表情ということになります。ここで医学がどう捉えられているのか調べてみましょう。客観性を第一とする科学の一分野というふうに日本では考えられてて,図書分類で言うと,物理学,化学,数学など自然科学のなかの一分野,図書分類の中では,ちょっと古い図書分類では,数学,物理学,化学,生物学ときて自然科学の一番最後のところに医学が入ってるんですね。医学が自然科学の中。つまり,物理学や化学と並んでるわけです。医学は自然科学の一分野だというような認識が一般的だったのですね。医学とはそういう客観性を第一とする科学の一分野であって,医療というのは医学を社会的に応用したもんであるというのが昔の医療の定義でした(スライド5)。でもこれは明らかにおかしい。医療の方が医学より先にあったはずです。世界中のどこにでも古くから医療はありました。医療のない部族のほうが珍しいといえます。医学はあくまで後付けのはずです。アメリカのジョージ・エンゲルという医学者が現代医学の批判によく使うお話なのですが,プロクルステスという山賊。ギリシャ神話の中に出てくる山賊なんですけども,この山賊には変な癖がありまして,盗賊をとっ捕まえてきてベッドにくくりつけるのだそうです。そしてそのベッドよりも旅人が長かったら頭と足を切り落とす,短かったら引き伸ばして,そのベッドに合わす。これは神話なのですが,つまりは,現代の生物医学モデルというのは自分たちのサイズに無理矢理患者を合わしているという事を,プロクルステスのベッドという神話を引用して批判しました。ちょっと一休みです。写真のベッドはプロクルステスのベッドとは違います(スライド6)。「人類進化ベッド」というれっきとしたベッドメーカーが造った商品です。ちょっと短すぎるベッドでプロクルステスにちょん切られそうですね。私も関与している睡眠文化研究会のメンバーの霊長類学者の座閒耕一郎先生とメーカーが一緒に開発しました。座閒先生はチンパンジーの睡眠を研究していて,彼らが枝でこしらえる樹上のベッドがあまり気持ち良さげなので彼らの留守の隙を狙って一度寝てみたそうです。これが異様に気持ちが良かったそうです。適度に風が通り,ゆりかごのように揺れて。あるメーカーが睡眠文化研究会に接近してきて開発にいたりました。ただ少し値が張るのです。37万円だそうです。それを聞くとおいそれ眠れませんでした(笑)。45