ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年

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概要

同志社看護 第4巻2019年

医師の三つの顔今日はスライドに沿って話そうと思います。まずこの絵は(スライド1)ロンドンのハイド・パークのケンジントンパークにあるピーターパンの像なんです。作者がこの像を寄贈したそうです。ちっちゃな像なんですけど,ディズニーのピーターパンとはちょっと違うような(笑)。ちょっとおぼっちゃま風のピーターパンでしょうか。今日はロンドンからのナラティヴの話が中心になることもありますので,それにちなんでスライドにさせて頂きました。次ですが,16世紀のオランダの銅版画家ゴルチウスが描いた「医師の三つの顔」というタイトルの銅版画です(スライド2)。天使の顔をしてるときの表情と,悪魔のときの表情と,普段の表情と,この三つの顔が描かれています。天使の顔をしてるときの表情というのは,医療者というのは,医師も含めてですけども,患者さんから見ると医療をしている時は天使に見えるのですが,報酬を請求されるとき,これは悪魔に見えると(笑)。法外な値段を取るということで悪魔に見えたのでしょうか。普段の表情というのは学者の顔をしてるんですね。当時はまだまだエビデンスも少ない。抗生剤もないし,ステロイドもないような時代です。医療は今日のように強力なものではないので,患者から信頼を得るには,ほかの分野で業績を挙げるしかなかったのではないかという人もいます。炭酸ガスを発見したブラック,近代分類学を開いたリンネは医者だったし,天文学のガリレオも最初は医学から出発しています。さて,面白いのは,表情なんです。図を拡大してみると,天使のときなのですが,天使は天使でも,何かちょっと力強すぎるような(笑),ごつい感じなんですね(スライド3?1)。ところが,この報酬を受ける悪魔の姿勢っていうのは,ちょっと頼りなげでしょ(スライド3?2)。手は出しているような,出してないような。医療の報酬というのは根拠がはっきりしない。ラジオの修理の場合,電器屋さんに持っていって「1週間預かります」と言われて1週間後に行って,「治ってないけど修理に時間が掛かりましたので,私の報酬としてお代は1万円ほどいただきます」と44