ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年

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概要

同志社看護 第4巻2019年

pp.79-80)。海外の文献では,生活習慣の嗜好に踏み込み日常生活におけるカフェインの消費量と睡眠状態,夜間覚醒との関連の報告が2件(Kromhout MA, JongerlingJ, Achterberg WP,2014;W. B. Dollman, V.T.LeBlanc, E.E.Roughead, 2003, p. 487),施設の生活環境と不眠の関連を指摘するものが1件(Meadow R,Luff R, Eyers L, et al., 2010)認められた。高齢者の睡眠障害への対策のうち,高齢者自身が非薬物療法に消極的な理由は,医師から説明を受ける時間が不足しかつ非薬物療法を訓練する場が近隣にないことが挙げられた。医師は,薬物管理と同様に生活習慣要因などの重要性を認識し非薬物療法を推進する意向はあるが,高齢者が抱く睡眠導入剤への大きな期待や非薬物療法において成果をあげるためには高齢者自身の努力が求められるために現実的に難しい状況にあった(W. B. Dollman, V. T. LeBlanc, E.E.Roughead, 2003, pp.488-489)。さらに,睡眠障害のある高齢者の支援と同時に健康状態に問題があり抑うつ傾向にある介護者への予防的支援の必要性に言及していた。介護者は,夜間介護のために日中の眠気が有意に強く(Meredeth A. Rowe,Christina S. M., Judy M. C., et al., 2008, pp.365-366),一晩に2.3回中途覚醒する上に早朝に起床,抑うつ傾向があり,高血圧で内服が必要などの健康問題を生じていた(Thomas P, Hazif-Thomas C, PareaultM, et al., 2010,p.159)。不眠や疲労,疼痛などの身体的負担が認められた介護者は,高齢者の昼夜逆転等の問題が顕在化する前から支援ニーズを有しており,介護の導入時期から継続的な支援が求められていた(Horner B, Jiwa M, Cuesta-Briand B, et al.,2012)。3.介入計画の実際介入計画の対象者選定時には,日中の居眠りとの関連が認められた性別や既往歴(糖尿病),体格および認知機能,日常生活行動のレベルを明確にしておくことが必要であった(Jennifer L. P, Nancy W. Glunn,Christopher A. Taylor, et al., 2008, p.1677)。社会的同調因子を考慮した介入プログラム2件(飯田,2002;堤・小林・涌井他,2011)の概要(一回あたりの時間,回数,評価期間)を記述する。飯田のプログラムでは,一回あたりの時間は90分~120分間,午後に介護者と日当たりの良い場所で過ごす,を連続4日間実施し効果を測定していた(飯田,2002)。堤らのプログラムでは,1回1時間程度,週3回のアクティビティを1ケ月間継続した後,効果を測定する手順(堤・小林・涌井他,2011)であった。アメリカの老人ホームで実施された睡眠改善に向けた経営者とスタッフの教育プログラム(1週間毎に4回開催)の概要を以下に記す。まず第1回(導入)では認知症の人の睡眠実態,睡眠問題の原因,日中のアクティビティプログラム,食事や環境,夜間の中途覚醒と原因となる健康問題の明確化が行われ,第2回目には睡眠改善プランに発展させることが受講者に予告される。第2回には効果的な睡眠改善プランを確認し,計画試行から目標を設定する。第3回には成果が明確な計画(午後や夕方の居眠りのピークとなる時間帯に15分間の個別プランを実施する,例えば,光の暴露や騒音の環境調整や睡眠スケジュール調整(居眠りを減らす),食事(カフェイン摂取の制限),日中の活動(散歩)や交流を増やす等を追加で実施する。第4回には,介入後の睡眠確保のメリットや計画の継続,睡眠障害のある他者への適応を検討する。この教育プログラムはアクションプランであり,研修を受講しながら対象者に応じた様々な介入を行いその効果を測定した結果,個別性のある介入は睡眠障害の改善に有効であった(Suzan M. McCurry, David M. L, Kenneth C.Pike, et al., 2009, p.38)。短時間の電話面接による介入では,質問紙ではとらえられない深いデータが収集できたが対象者の受け入れ,性格,理解度や介入する家庭医や看護師の知識や態度の統一が効果的な介入への課題となっていた(Jane V. D., Fiona T., A Niroshan S., 2014, pp.29-31)。Ⅳ考察在宅で療養する認知症の人の睡眠障害に対する看護支援プログラムを作成するために,研究計画において考慮すべき点や睡眠測定の方法について論じた後,看護支援プログラムに欠かすことのできない内容について考察する。1.研究計画にて考慮すべき点現時点においては,施設内の高齢者を対象とした研究が多くを占め,在宅療養者への介入はごくわずかであった。国内外を比較すると,海外の介入研究2件,実態調査を伴う介入研究2件では1件を除きコントロール群が設定されていた。国内では2件中1件にコ36