ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年
- ページ
- 37/64
このページは 同志社看護 第4巻2019年 の電子ブックに掲載されている37ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 同志社看護 第4巻2019年 の電子ブックに掲載されている37ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
同志社看護 第4巻2019年
認知症の人の睡眠障害への看護支援に関する文献検討Ⅲ結果1.研究方法(対象者,調査方法)の概要1)対象者の属性国内の対象者は,在宅高齢者1件,入院患者2件,老人保健施設又は特別養護老人ホーム入所者6件,介護者1件であった。対象者の平均年齢は80歳以上が5件,認知症や日常生活の自立度は,重度の認知症の人(寝たきり含む)6件,自立高齢者1件,脳血管障害後遺症を含むものが1件であった。睡眠導入剤の内服者を除外するもの3件,内服者を含むもの1件であった。対象者数は,実態調査8名~30名,介入研究8名~45名であった。海外の先行研究は,世界規模の高齢化に伴いアメリカ4件,イギリス2件,フランス1件,オーストラリア2件,オランダ1件と複数の国で実施されていた。対象者は,施設と認知症ケアユニット入所者1件,入所者と地域で暮らす高齢者の比較2件,地域在住高齢者1件,介護家族のみ2件,介護者と高齢者の比較1件,医療者を含むもの3件とコントロール群の設定も多様であった。対象者の平均年齢は70歳代であった。対象者の認知症状や自立度について,10件中4件はミニメンタル認知機能評価尺度の得点や日常生活行動をもとに選定基準を厳密に設定していたが睡眠導入剤内服の有無は確認できなかった。対象者数は,質問紙調査では400名を超えるがインタビューなどでは最小10名であった。2)研究デザイン国内研究の研究デザインは,実態調査が8件,介入研究2件であった。測定項目・内容は,認知症の人が対象であるため,客観的な睡眠測定に加えて研究者や介護職による生活場面の観察法や睡眠・覚醒判定を用いていた。海外の研究方法は,実態調査6件,介入研究2件,介入を伴う実態調査研究2件であった。10件中4件にパイロットスタディと明記されていた。海外の測定項目・内容では,質問紙調査又はインタビューによる主観的評価指標と睡眠測定による客観的評価指標が使用されていた。質問紙調査のみの実施1件,質問紙とインタビュー実施が4件であった。インタビューは,グループインタビューと電話による短時間のインタビュー,構造化面接の3種類が認められた。3)睡眠測定の方法国内の睡眠測定の方法は,主観的評価指標として睡眠日誌や観察法が,客観的評価指標では睡眠ポリグラフ(脳波測定),アクチグラフR(A.M.I社製)(腕時計型)またはアクティウォッチR(フィリップス・レスピロニクス社製)(腕時計型),スリープスキャンR(タニタ製)(マット型)が採用されていた。睡眠測定方法は,主観的指標か客観的指標のいずれか一方のみの測定6件,主観的・客観指標を併用した測定2件,夜間睡眠測定にはポリグラフを日中の活動量測定にはアクチグラフRを活用したものが1件であった。主観的指標のみを使用した1件では,本調査実施前に睡眠日誌とアクティウォッチRとの同時測定による妥当性が確認されていた。測定期間は,最短4日間から最長1年間と幅広かった。海外ではマット型測定機器の使用は見当たらず,睡眠日誌とアクチグラフRによる測定は2件,アクチグラフRのみの測定は2件であった。測定期間は1~2週間であった。最近のフィールド調査では国内外ともに使用目的に応じて専用の解析ソフトを用いた腕時計型のアクチグラフRやアクティウォッチR,マット型のスリープスキャンRによる簡易な測定方法が採用されていた。対象の理解度や苦痛緩和のために装着時間の配慮や24時間連続測定の可否,非装着型機器の選択,機器をカバーで覆う等に加えて主観的評価指標との併用などが実施されていた(小西・西田,2015;角濱,2002)。2.高齢者および介護者を対象とした調査結果や看護支援の成果国内文献から,認知症の人の不眠の原因は様々で睡眠実態も個別性が大きいため対象者の年代,日常生活行動の自立度や生活習慣,生活リズムにあわせたケア計画の立案が必要であった(角濱,2002;高山・洲崎・有吉,2010)。1年の長期測定による睡眠状態の季節差(笠井・小林・川島,2016b)や施設入所高齢者が夕食直後19時頃就床し,就床時間が長い生活スタイルのために睡眠潜時が延長し睡眠効率が低いことが明らかとなった(小西・西田,2015)。社会的同調因子への働きかけ(飯田,2001)や日中の覚醒,活動量の増加につながるアクティビティケア(角濱,2002),日中の離床頻度が1回よりも2回以上の方が夜間の睡眠が良好で,好みのレクリエーションがある者の睡眠効率が高かった(小西・陶山,2016,31