ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年

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概要

同志社看護 第4巻2019年

保健師の行うネットワーク形成のプロセスと役割は,保健,医療,福祉,消防など,地域の多様な関係機関,関係職種と連携をとりながら調整していたことであった。具体的には,(1)保健所が公衆衛生の専門的,技術的拠点としてリーダーシップを発揮し,所属する保健師もその役割を果たしていた。(2)保健師独自の機能,すなわち保健師の強みを生かした役割が発揮され,保健のみでなく,医療,福祉,消防など,地域の関係機関,関係職種と連携をとり調整していた。(3)これらの調整を行うにあたり,業務担当保健師と管理職保健師のそれぞれの役割分担も有効に行われていた。(4)ネットワーク形成にあたり保健師が最も大切にしていたことは,「顔の見える関係づくり」であった。本研究は,1保健所におけるネットワーク形成にかかる1つの実践事例について述べたものであり,対象となった地域の特性が影響していることは否めない。そのため一般化することは難しく,さまざまなネットワーク形成の事例を集積していく必要があると考えている。また,阿部(2013,pp.1373-1375)が報告しているように,重度の障害をもつ小児を対象とした訪問看護ステーションやレスパイト入院の可能な施設が少ない地域も存在し,地域によって社会資源の状況は異なると考えられる。今後は,それぞれの地域の実情に即したネットワーク形成のあり方を模索していく必要があると考えている。センターの取り組みを中心に.保健師ジャーナル.70:960-965.越田美穂子・守田孝恵(2009):コミュニティでのネットワーク形成過程における行政保健師の機能とその意味.リハビリテーション連携科学.10:18-26.厚生労働省(2013):地域における保健師の保健活動指針.厚生労働省ホームページ.http://www.nacphn.jp/topics/pdf/2013_shishin.pdf.(2018.09.12アクセス)厚生労働統計協会(2018):国民衛生の動向2018/2019.厚生の指標.65:30-32.森岡幸子・村中峯子(2013):新版保健師業務要覧(第3版).8-9.東京:日本看護協会出版会.楢橋明子・尾形由起子・山下清香・他(2015):神経難病患者の在宅療養のために保健師が行った関係機関調整技術.日本地域看護学会誌.18(2,3):33-40.植田悠紀子・山田和子(2000):地域における保健婦の企画・調整機能.J. Natl. Public Health. 49(2):153-158.山田和子(2004):各事例から見たネットワーク構築・運営のポイント.保健師ジャーナル.60:972-975.全国保健師教育機関協議会(2018):公衆衛生看護学教育モデル・コア・カリキュラム2017.8.東京:全国保健師教育機関協議会.謝辞:最後になりましたが,インタビューに快く御承諾いただきました保健師様に心から感謝いたします。(本研究は,2016年度同志社女子大学個人研究助成金を受けて実施したものの一部である。また,本研究の遂行や論文作成における企業等との利益相反はありません。)文献阿部大輔(2013):―地域連携―保健師.周産期医学.43:1373-1375.渥美綾子・安齋由貴子(2013):行政保健師が行う個別支援における連携内容.日本地域看護学会誌.16(2):23-31.福永一郎(2004):おさえておこう!地域ネットワークのあの手この手.保健師ジャーナル.60:950-953.石丸敏子(2014):地域包括ケアシステム構築に向けての保健所の役割と保健師活動富山県砺波厚生27