ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年

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概要

同志社看護 第4巻2019年

保健師の行うネットワーク形成のプロセスと役割4)倫理的配慮本研究は,同志社女子大学の人を対象とする研究倫理審査委員会の承認を得て行った(承認年月日:2016年6月30日。番号:2016-10)。研究協力者への依頼には,文書及び口頭にて,研究目的,自由意思の保障,研究に参加しなくても不利益な対応を受けることがないこと,いったん同意しても理由のいかんを問わずいつでも撤回できること,個人情報の保護,データは目的以外に使用しないこと,学会等への成果発表を行う際は個人が特定されないように慎重に配慮すること等を説明し,文書で同意を得た。また,インタビュー内容の機密性を保持するため,個室を利用して行った。5)用語の定義ネットワークとは,関係機関,関係職種のつながりを指すことばであり,本稿では,在宅療養を支える関係機関,関係職種の連携,協働と定義する。Ⅲ.結果面接した内容から,(1)《ネットワーク形成の基盤》,(2)《ネットワーク形成のプロセス》,(3)《保健師の果たした役割》の3つの大カテゴリーに分類できた。さらに,(1)の《ネットワーク形成の基盤》は1【保健所の基盤】と2【地域の力量】の2つのカテゴリーで2),(の《ネットワーク形成のプロセス》は1【退院の連絡と方針の決定】,2【退院前の多機関調整・連携】,3【退院時の対応】,4【退院後の調整・連携】の4つのカテゴリーで,(3)《保健師の果たした役割》は1【業務担当保健師と管理職保健師の役割】,2【保健師の強み】,3【大事にしていること】の3つのカテゴリーで構成された。それぞれのカテゴリーに整理統合したものを表1-1および表1-2に示す。なお,大カテゴリーは《》,カテゴリーは【】,サブカテゴリーは『』,対象者が語った言葉(以下「文章」とする)は「」を用いる。サブカテゴリー内の()は,構成する文章の数である。1.ネットワーク形成の基盤大カテゴリー《ネットワーク形成の基盤》は,カテゴリーとして【保健所の基盤】と【地域の力量】で構成された。【保健所の基盤】は,さらに『保健所の保健活動の歴史』『既存のシステムの活用』『保健師活動の継承』『時代の変化への対応』で,【地域の力量】は『医師会の力量』『住民の力量』『市町村の力量』『家族の力量』で構成された。さらに,【保健所の基盤】の中の『保健所の保健活動の歴史』は,「この保健所は先進的にいろいろやってきた保健所だった」など3つの文章で,『既存のシステムの活用』は「管内に重症心身障害児支援学校が早期にできた基盤がある」「保健所では,すでに形成していた難病のネットワークがある」など10の文章で,『保健師活動の継承』は「保健所の保健師は異動してもバトンタッチして活動を積み上げてきた」など2つの文章で,『時代の変化への対応』は「重度の小児がどんどん地域に帰ってくる」「母子包括支援センターの立ち上げが提言されている」などの18の文章で構成された。【地域の力量】の中の『医師会の力量』は,「地域医師会は在宅医療への熱い思いを持って難病ケアシステムを作り上げてきた」など5つの文章で,『住民の力量』は「行政への要望がしっかりしている」「企業戦士として働いてきた人が多い」など6つの文章で,『市町村の力量』は,「常に住民と向き合っている」の文章で,『家族の力量』は「ケアを積極的にしている家族だった」など3つの文章で構成された。2.ネットワーク形成のプロセス大カテゴリー《ネットワーク形成のプロセス》は,カテゴリーとして【退院の連絡と方針の決定】,【退院前の多機関調整・連携】,【退院時の対応】,【退院後の調整・連携】の4つで構成された。【退院の連絡と方針の決定】は,さらに『退院の連絡』と『方針の決定』のサブカテゴリーで構成され,『退院の連絡』は「生命予後の関係で,家族とのよい時間を過ごさせてあげたい」「このタイミングで,という連絡を病院からもらって,在宅移行支援を始めた」など5つの文章で構成された。『方針の決定』は,「退院する前にどのようなシステムを作るか考えておくことが重要」「移行までに情報を整理して準備をたくさんしておく」など6つの文章で構成された。【退院前の多機関調整・連携】は,1『専門病院との調整』2『地域中核病院との調整』3『訪問看護ステーションとの調整』4『市町村との調整』5『消防署との調整』6『障害福祉課との調整』7『退院カンファレンス』の7つのサブカテゴリーで構成された。さらに,『専門病院との調整』は,「保健所保健師も,退院の時から一緒にかかわっていた」「リエゾン専門看護師など看護部との連携をとった」など8つの文章で構成された。『地域中核病院との調整』は,「訪問診療に出ても21