ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年
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同志社看護 第4巻2019年
同志社看護Doshisha Kango Vol.4, pp.19-27, 2019-資料-保健師の行うネットワーク形成のプロセスと役割ー保健師へのインタビュー調査からーThe process and roles of public health nurses with respect to the formationof networks-Based on an interview survey involving public health nurses-桝本妙子1)1,三橋美和)1),橋本秀実Masumoto Taeko,Mitsuhashi Miwa,Hashimoto Hidemi抄録目的:保健師の行うネットワーク形成のプロセスと保健師の役割を明らかにすることを目的とした。方法:文書及び口頭にて同意を得た保健師を対象に,ネットワーク形成のプロセスと調整した関係機関,関係職種等について半構成的インタビューを行った。分析方法は,逐語録から意味のわかる最小単位の文章に分解し,整理統合しながら抽象度を高め,サブカテゴリー,カテゴリー,大カテゴリーを抽出した。結果:面接した内容から,(1)《ネットワーク形成の基盤》,(2)《ネットワーク形成のプロセス》,(3)《保健師の果たした役割》の3つの大カテゴリーに分類できた。さらに,(1)の《ネットワーク形成の基盤》は1【保健所の基盤】と2【地域の力量】の2つのカテゴリーで,(2)の《ネットワーク形成のプロセス》は1【退院の連絡と方針の決定】,2【退院前の多機関調整・連携】,3【退院時の対応】,4【退院後の調整・連携】の4つのカテゴリーで,(3)《保健師の果たした役割》は1【業務担当保健師と管理職保健師の役割】,2【保健師の強み】,3【大事にしていること】の3つのカテゴリーで構成された。結論:保健師が行うネットワーク形成のプロセスとしては,退院前の調整,退院時の対応,退院後の調整の3つの段階に区分された。これらの調整において保健師が果たした役割は,保健,医療,福祉,消防など,地域の多様な関係機関,関係職種と連携をとり調整していたことであった。具体的には,(1)保健所が公衆衛生の専門的,技術的拠点としてリーダーシップを発揮し,所属する保健師もその役割を果たしていた。(2)保健師の強みを生かした役割が発揮され,保健のみでなく,医療,福祉,消防など,地域の多様な関係機関,関係職種と連携をとり調整していた。(3)これらの調整を行うにあたり,業務担当保健師と管理職保健師のそれぞれの役割分担も有効に行われていた。(4)保健師が最も大切にしていたことは,「顔の見える関係づくり」であった。キーワード:ネットワーク形成,プロセス,保健師の役割Ⅰ.はじめに少子高齢化と医療費是正を背景に,抜本的な社会保障制度改革がすすめられている。その趣旨は,国民が安心,信頼してすごせる仕組みづくりであり,その実現のためには地域における包括的なケア体制確立が重要であると指摘されている。行政に所属する保健師(以下,保健師とする)は,地域住民に最も近い立場であることから,住民のヘルスケアニーズを把握し,その解決のためにケアシステムを形成する役割を担っている。言い換えれば,地域住民を対象にしたケアシステムの形成は,住民の健康と福祉の向上のために,保健師の専門的技術を駆使して行う重要な役割の1つであるといえる。平成25年4月に厚生労働省から通知された「地域における保健師の保健活動指針」(厚生労働省,2013)1)同志社女子大学看護学部Doshisha Women's College of Liberal Arts, Faculty of Nursing19