ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年

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概要

同志社看護 第4巻2019年

併症の有無,職業,家族構成を電子カルテより情報収集した。1)HADS日本語版HADSは,入院前,入院日,退院時,退院後の4時点で調査した。HADS(Zigmond・Snaith,1983)は自記式の不安抑うつテストで,身体症状を持つ一般外来患者の不安と抑うつ状態を評価するために開発された尺度である。HADSは,不安と抑うつを各7項目から測定する尺度であり,当てはまる項目を4段階(0点~3点)で自己評価する。得点範囲は両因子ともに0点~21点で,各因子ともに,0~7点は「不安または抑うつなし」,8~10点は「疑診」,11点以上は「確診」と分類される。本研究では,八田ら(1998)が翻訳したHADS日本語版を使用した。なお,HADS日本語版の使用においては,開発者に使用許諾をとり,使用上の注意点を遵守した。2)SF-8日本語版SF-8は,入院前,入院日,退院後の3時点で調査した。SF-8(福原・鈴鴨,2004)は,国際的に広く使用されている健康関連QOL尺度であるSF-36v2(福原・鈴鴨,2011)の健康に関する8つの概念の身体機能(PF),日常役割機能-身体(RP),体の痛み(BP),全体的健康感(GH),活力(VT),社会生活機能(SF),日常役割機能-精神(RE),心の健康(MH)をそれぞれ1項目で測定する尺度である。8つの下位尺度は0~100点の範囲をとり,得点が高いほど健康関連QOLが高いことを示す。本研究では,過去1週間の状態を質問するアキュート版を使用した。なお,使用においては,iHope International株式会社とライセンス契約を結び,調査担当者のためのガイドラインを遵守した。Statistics 23を使用した。8.倫理的配慮本研究は,香川大学医学部附属病院看護部倫理委員会の承認を得た。対象者には,研究の目的・方法,プライバシーや個人情報保護を厳守することとその方法,研究の同意をいつでも撤回でき,撤回しても不利益を受けないこと,研究結果は学会で発表する可能性があること等を口頭と文書で説明し,署名のうえ同意を得た。また,質問紙票は無記名とし,符号対応表を作成し連結可能匿名化でデータを処理した。Ⅲ.結果1.対象者の概要(表1)本研究の基準を満たし,質問紙票への回答が得られたのは,入院前41名,入院日40名,退院時36名,退院後33名であった。そのうち,4時点すべてにおいて質問紙票の回答に欠損値のない32名を分析対象とした。表1対象者の概要7.データ分析方法SF-8の各得点,HADSの不安・抑うつ得点について記述統計量を算出した。SF-8の各得点およびHADSの不安得点と抑うつ得点における入院から退院後の得点の推移を検討するために,繰り返しのある一要因の分散分析を行った。有意水準は5%とし,時間による主効果が認められた得点において,Bonferroniの多重比較により,下位検定を行った。SF-8の得点は,本研究の対象者と同年代の国民平均値と比較した。データ解析にはSPSS10