ブックタイトル同志社看護 第4巻2019年

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概要

同志社看護 第4巻2019年

象を科学的かつ専門的な視点からエビデンスを活用し分析,理論を生成・検証できる能力および看護を受ける人々の病の体験を通したナラティヴな視点から看護現象を分析し再構成・検証する。「助産学実践科目」は,基盤科目と発展科目で構成し,前者には保健師助産師看護師学校養成所指定規則に定める科目,後者には,助産の応用・発展に必要な高度で創造的な実践力を修得できる科目を配置した。4.エビデンスとナラティヴの統合看護学研究科での教育研究の特色の一つとして,エビデンスとナラティヴを統合できる看護実践力の育成がある。エビデンスとナラティヴを統合できる看護実践力を育てるということは,医療者の経験知や慣習に頼るのだけではなく,客観的に実証された科学的根拠に基づく医療を行う「EBM:Evidence-based medicine,エビデンス」と,対象者との対話を通して,その生活背景や家族との関係性,育まれてきた個人の価値観,病の主観的な体験を尊重し,その人の抱えている課題を全人的にアプローチする「NBM:Narrative-based medicine,ナラティヴ」とを統合し,両方の視点を相互補完的に取り入れて調和させ,より質の高い看護実践力を備えることを目指すものである。この両者の統合を強調したのは,医療者と対象者の信頼関係の構築や寄り添う看護実践,より質の高い医療・看護の提供においては不可欠と考えたからである。エビデンスとナラティヴを統合する学修として,共通科目の「看護学研究特論」の中に,エビデンスとナラティヴの統合を授業テーマに,国内外の研究論文クリティークを通してエビデンスとナラティヴを統合した看護実践の探求につながる研究課題を検討する内容を盛り込んでいる。また,専門科目の「看護学演習」でも病の経験や日常生活における困難感,価値や不安といった対象者の体験を主体として対話を実践,分析・解釈を行うといった,エビデンスとナラティヴの看護実践への活用を検討している。5.「看護学研究分野」と「助産学実践分野」本研究科でのもう1つの特色は,「看護学研究分野」と「助産学実践分野」を軸にしていることである。1)リサーチマインドを深化させる「看護学研究分野」看護学研究分野では,リサーチマインドと高いコンピテンシーを,さらに理論的に発展させ,活用することにより,指導的役割を担える,良質な看護を実践する看護職者および教育研究能力の向上を目指し,大学院(博士課程)に進学し教育研究者の道を志す看護職者の育成を目指している。この分野は,個人,家族,地域,環境との関わり,あるいは健康と疾病の連続性に着目した健康増進・維持・回復,さらには出生から死に至るまで,エイジングとともに変化する人々の健康生活に向けての支援において指導的役割を担う人材を育成するものであり,さらに成人看護学とウイメンズヘルスを含む「臨床看護学領域」と高齢者・在宅看護学と公衆衛生看護学を含む「広域看護学領域」で構成している。「臨床看護学領域」は,医療機関などで療養する人とその家族の健康課題と援助方法について探究する領域である。この領域では,生命の危機及び回復過程にある人とその家族,慢性疾患やがんとともに生活する人とその家族を対象とする「成人看護学」,周産期の母子はじめ女性の一生を対象とした「ウイメンズヘルス」で構成されている。また,「広域看護学領域」は,急速な少子超高齢化や,保健・医療・福祉に対する社会的ニーズの多様化など,人々の健康を取り巻く状況が複雑化する中,生活の場が病院から在宅,そして地域へと移行している高齢者とその家族を対象とする「高齢者・在宅看護学」,ヘルスプロモーションの視点から組織活動等の集団を対象とする「公衆衛生看護学」で構成されている。2)高度で創造的な助産師を目指す「助産学実践分野」助産学実践分野は,時代の流れに沿った医療環境の大きな変化に対応できる高度な助産学の知識・技術の修得,創造的な助産実践に焦点を当てた教育・研究を行い助産師国家試験の受験資格を得る分4