ブックタイトル同志社看護 第3巻

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概要

同志社看護 第3巻

後の視線の変化が認知機能の変化によるものであるとの裏付けとしても有用であると示された。ビデオカメラは,被験者が行った動作を記録するために用いられていた。被験者に装着する視野カメラの映像は,被験者の頭部の向きに影響され,被験者自身の細かな動きをすべて把握することは困難である。そのため,動作を伴う視線計測において,被験者の動作を客観的に把握できるビデオカメラを併用することが効果的であると考えられた。インタビュー調査は,動作中に考えていたことや実験後の印象を把握するために用いられていた。これらの情報を視線計測と組み合わせることで,どのような情報から何を考え動作に移したかという一連の思考過程を分析することが可能となる。そのため,動作を伴う視線計測中の思考過程を考察するためには,映像を提示しながらのインタビュー調査が有効であると示唆された。Ⅵ.結論動作を伴う視線計測から熟練看護師の技の可視化,看護技術の習得に向けた教育,対象者の心理に基づいた患者教育に繋げるためは,モバイル型視線計測機器が適しており,動作環境に合わせた視野カメラレンズ,キャリブレーション方法を選択する必要がある。また,熟練者の技の可視化には10名以上を対象とし,注視時間や注視回数を比較しつつ,注視項目変化表や視線軌跡を用いて,認知プロセスを推定することが重要であると明らかとなった。さらに,視線計測に加え,アンケートやビデオカメラを併用することにより,動作を伴う一連の思考過程を推定することが可能となると示唆された。利益相反:本研究における利益相反は存在しない。文献大辞泉(2012):大辞泉上巻(第2版).松村明監修:690.東京:小学館.江上千代美,田中美智子,柏原やすみ他(2016):新卒看護師に対する輸血の準備に関した看護技術教育前後の変化眼球運動指標による評価.福岡県立大学看護学研究紀要.13:21-24.後藤惠之輔,木村拓,中島豊明(2001):アイカメラを用いた歩行者の視線分析.長崎大学工学部研究報告.31(56):119-124.橋本圭輔,牛木一成,中村誠他(2006):動画再生中における刺激提示の色の誘目性と配置に関する考察,情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI).3(2006-HI-117):75-81.蜂巣健一(2014):消費者の視線を可視化するアイトラッキング活用技術.特集視線を可視化するアイトラッキング.映像情報インダストリアル3.46(3):48-52.井原康裕(2014):ディテクトのアイトラッキングコストパフォーマンスに優れた視線計測システムの紹介.特集2視線を可視化するアイトラッキング.映像情報インダストリアル3.46(3):43-47.石橋千征,加藤貴昭,永野智久他(2013):バスケットボール戦術下でのリバウンド行為中における熟練者の視覚探索活動.スポーツ産業学研究.23(1):45-53.石井仁,飯塚慎司,簗田明教他(2007):軽度発達障害児における形態模写過程の基礎的解析.電子情報通信学会技術研究報告.106(612):37-42.石浦佑一,沼田景三,日垣一男(2015):若年健康成人におけるトイレ動作時の視線分析.日本作業療法研究学会雑誌.18(1):51-57.伊藤納奈,福田忠彦(2004):歩行時の下方視覚情報への依存における加齢効果眼球運動の時系列的変化.人間工学.40(5):239-247.伊藤禎敏,荻野弘,野田宏治(2004):アイマークレコーダによる名古屋高速都心環状線の視覚分析.豊田工業高等専門学校研究紀要.37:45-50.加藤貴昭,福田忠彦(2002):野球の打撃準備時間相における打者の視覚探索ストラテジー.人間工学.38(6):333-340.北濱亨,三浦利章,岡崎甚幸他(1998):迷路探索歩行時の注視と歩行に関する研究.人間工学.35(3):145-155.北詰恵一,横内俊裕(2014):大規模小売店舗における商品目視時間・滞留時間と購買率との関係分析.社会的信頼学.2:61-71.小早川睦貴,小田桐匡,大東祥孝(2007):物品使用パントマイムと実使用における行為対象の視覚的分析アイマークレコーダーを用いた比較.高次脳機能研究.27(4):290-297.桑原哲爾(2014):視線計測の新たなフィールドを作り出すモバイル型「EMR-9」と業界初の"キャリブレーションフリー"技術非接触型「EMR ACTUS」の28