ブックタイトル同志社看護 第3巻
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同志社看護 第3巻
師と看護学生の採血針穿刺時の視線パターン(佐藤・大津・曽田,2011)を明らかにしていた。また,尾林・杉江・金(2016)は,歩行時にスマートフォンを使用した場合に注視項目のほとんどがスマートフォンに向けられ,周囲への目視が減少し危険性を認知できなくなることを明らかにしていた。他にも,瞳孔径,サッケードの回数,1回の注視における注視時間等が分析指標として用いられていた。8)併用調査視線計測に他の調査を併用した研究は15件であった。1質問紙調査を併用した研究質問紙調査を併用していた文献は5件であった。そのうち,北詰・横内(2014)は,購買行動の前後に質問紙を用いて,被験者の属性による注視の違いを調査していた。実験後は被験者がどのような考えのもとで購買行動をとったかを調査し,注視時間への影響について考察していた。また,内山・木下・渕上(2014)は,実験前に自身の性格傾向や馬の印象等の質問紙調査を行い,馬とかかわった後,再び馬の印象等を調査することで,馬に対する印象と視線の変化を見出していた。質問紙調査は,被験者の属性の把握や介入による認知の変化の裏付けとして用いられていた。2ビデオカメラを併用した研究ビデオカメラを併用していた文献は6件であった。そのうち,佐藤・大津・曽田(2011)は,熟練看護師と看護学生が採血を実施している場面をビデオカメラで記録し,一連の動作と視線を対応させることで,採血時の観察の特徴を明らかにしていた。また,石橋・加藤・永野(2013)は,バスケットボール熟練者がリバウンドを行う場面をビデオカメラで記録し,注視回数等を対応させることで,リバウンド動作時の視線パターンを明らかにしていた。ビデオカメラは,分析の補助ツールとして,被験者がどのような動作をしている時に何を見ていたかを把握するために用いられていた。3インタビュー調査を併用した研究インタビュー調査を併用していた文献は2件であった。北濱・三浦・岡崎(1998)は,迷路内の探索歩行後に映像を見せながらインタビューを行っていた。インタビューでは,歩行中に考えたこと等を質問し,どのように進むべき方向を選択していたかを調査していた。西原・辰巳・吉城(2016)は,自転車の走行実験後に路線に対する安心・不安の程度,その判断理由等について質問し,路線への不安感が注視挙動に及ぼす影響を調査していた。4その他,ドライビングシミュレータ,モーションキャプチャー等を併用した研究があった。Ⅴ.考察本研究では,熟練看護師の技の可視化,看護技術の習得に向けた教育,対象者の心理に基づいた患者教育に繋げるために,先行研究から視線の測定方法や分析方法の妥当性について考察する。1.視線計測機器について動作を伴う視線計測には,頭部装着型の視線計測機器が用いられていた。設置型は,会話時の話者の視線(村山,2012),文章読解時の視線(榊原,2013),動画閲覧時の視線(橋本・牛木・中村,2006)計測等に用いられる。大野(2003,p.728)は,設置型の視線計測機器はカメラで撮影される範囲が限定されるため,身体の動きが著しく制限されると述べている。また,注視点を同定するために可能な限り頭部位置を固定しておく必要があるため,動作を伴う視線計測には適さないと考えられる。反対に,頭部装着型では頭部に機器を固定するため,被験者が身体を動かしても視線計測が可能である。しかし,常に機器と繋がれている状態であり被験者への負担が大きいことから,長時間の計測時は被験者の疲労等に十分配慮する必要がある。モバイル型は,頭部装着型の中でも小型・軽量であり,被験者への負担が少なく,コードによる移動範囲の制限もない。そのため,場所を選ばずあらゆる動きに対応可能であり,汎用性が高い。これらのことから,動作を伴う視線計測ではモバイル型の視線計測機器が適していると考える。2.視線計測機器の条件設定1)眼球運動の測定眼球運動の測定には,瞳孔角膜反射法が最も多く用いられていた。瞳孔角膜反射法は,基本的には角膜反射法と同じであり(下田,2005,p.64),調整の手間が少なく測定精度も優れている(大野,2002,pp.567-569)。そのため,動作を伴う視線計測においても瞳孔角膜反射法を用いた眼球運動の測定が妥当であると考えられた。2)キャリブレーション角膜反射法であっても視線計測中にカメラのずれ等26