ブックタイトル同志社看護 第3巻
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同志社看護 第3巻
動作を伴う視線計測に関する文献的考察文献は1件であった。3)キャリブレーションキャリブレーションとは,瞳孔と角膜反射像の位置関係から算出した注視点と実際の注視箇所との誤差を修正するために行う調整のことである。キャリブレーションの実施方法を記載した文献は2件であった。石浦・沼田・日垣(2015)は,トイレの扉から1m離れた距離でキャリブレーションを行い,その後トイレの入口および便座に座った状態でアイマークの誤差がないかを確認していた。塩田・高梨・野北(2009)は,2m離れた距離でキャリブレーションを行い,上下・前後の9点を注視させ,アイマークを一致させていた。4)視野カメラレンズ視野カメラレンズの種類について記載した文献は6件あり,そのうち92°のレンズを用いた文献が3件と最も多かった。上田・秋山・泉(2004)は,92°のレンズを使用し,歩行時の視線を明らかしていた。他にも,92°のレンズは,高齢者が姿勢を保持する際の視線(塩田・高梨・野北,2009)や馬を観察する際の視線(内山・木下・渕上,2014)に用いられていた。石浦・沼田・日垣(2015)は,115°のレンズを使用しトイレ環境全体の視野範囲を確保することで,トイレ動作時に何を見ているかを明らかにしていた。石井・飯塚・簗田(2007)は,62°のレンズを用いて,軽度発達障害児がタッチパネル上で形態模写を行う際の視線を計測していた。北濱・三浦・岡崎(1998)は90°と60°の2種類のレンズを使い分け,迷路探索歩行時の視線を計測していた。5)注視の定義注視について定義した文献は12件であった。視線計測機器は1秒間に30フレーム記録することができる。同一か所に3フレーム(0.10秒)以上視線が停留した場合を注視と定義した文献は4件,4フレーム(0.13秒)以上とする文献は2件,5フレーム(0.17秒)以上とする文献は2件,6フレーム(0.20秒)以上とする文献は1件であった。その他,北濱・三浦・岡崎(1998)は,アイマークの移動距離により注視を定義しており,視角が4.5°より短い場合を同一注視と判定していた。一方で,伊藤・福田(2004)は,特定の視標がなく動作とともに常に視線が移動する場合においては注視を断定することが困難であると述べており,注視を定義せずに分析を行っていた。6)対象者数と統計処理方法対象者数5名以下の文献は5件,6~10名は6件,11~20名は4件,21~30名は4件,31名以上は4件であった。対象者2名では,佐藤・大津・曽田(2011)が看護師と看護学生の採血中の視線軌跡からパターンを比較していた。対象者5名で江上・田中・柏原(2016)は,新卒看護師が輸血準備時に注視した箇所,注視回数,注視時間から平均値を算出し,教育介入前後で比較していた。6名以上で尾林・杉江・金(2016)は,無タスク歩行時の注視時間等の値を1としてスマートフォン操作中の歩行値を指数化し,平均値を比較していた。また,石橋・加藤・永野(2013)は,バスケットボール熟練者の3種類のプレイパターンで,注視回数,注視時間等の平均値を変量としたKruskal-Wallis検定を行っていた。11名以上で伊藤・福田(2004)は,高齢者と若齢者において注視時間割合を変量としたMann WhitneyのU検定,被験者群や歩行場所を独立変数とし下方の視線配置割合を従属変数とした分散分析等を行っていた。さらに,31名以上では,多田・飯田・倉内(2013)は,自動車運転時の音声やモニタ画面,案内板による情報提供の有無で,注視回数,注視時間等の平均値について多重比較による検定を行い,介入の効果を検証していた。7)視線データの分析指標選定された23文献において,該当箇所をどのくらいの時間見ていたかを表す「注視時間」を分析指標とした文献は18件,何回見たかを表す「注視回数」を分析指標とした文献は11件あり,該当箇所にどのくらい意識を集中させていたかの指標としていた。全注視時間のうち該当箇所をどの程度注視していたかを表す「注視時間割合」を分析指標とした文献は7件,全注視回数のうち該当箇所を何回注視していたかを表す「注視回数割合」を分析指標とした文献は2件であり,実験の所要時間が異なる被験者を比較するために用いられていた。また,視線がどのくらいの速度で移動していたかを表す「視線速度」を分析指標とした文献は2件あり,尾林・杉江・金(2016),尾林・小澤・小塚(2010)は集中力の低下の判断指標として用いていた。さらに,どのような順序で何を見ていたかを示す「注視項目変化表」「視線軌跡」を分析指標とした文献は4件あった。「注視項目変化表」および「視線軌跡」の分析により,若齢者と比較した高齢者の歩行時の視線パターン(伊藤・福田,2004),野球熟練者と非熟練者の比較による打撃中の視線パターン(加藤・福田,2002),看護23