ブックタイトル同志社看護 第3巻
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同志社看護 第3巻
計測から舞踊動作の教育に繋げるための研究も行われている(知念・神里・野口,2010)。これらの先行研究から,看護の分野においても視線計測により,熟練看護師の技の可視化が可能になり,新人看護師や看護学生の技術習得に向けた教育に繋げることができると考える。また,日常生活動作時の視線計測により,動作の特徴や患者の心理に基づいた教育が可能となると考える。しかし,視線を用いた研究は環境の設定,機器の条件設定,分析方法が異なり,研究方法は確立されていない。そこで,本研究では,動作を伴う視線計測に関する先行研究から,視線の測定方法,分析方法,対象者数の妥当性を明らかにすることを目的とした。Ⅱ.用語の定義動作を伴う視線計測:行動時の思考や認知プロセスを推定するための視線計測のこと。設置型視線計測機器:モニタ画面の固定された被写体を見ているときの視線を計測する機器のことで,EMR-ACTUS(Nac社製),QG-PLUS(Ditect社製)等がある。頭部装着型視線計測機器:眼鏡や帽子に瞳孔検出カメラと視野カメラの2種類のカメラを装着することで頭部運動に連動した視線を計測する機器のことで,EMR7,8,8B(Nac社製),View TrackerII(Ditect社製)等がある。モバイル型視線計測機器:頭部装着型の中でも,本体が小型軽量化され,携帯可能な視線計測機器であり,EMR9(Nac社製),Tobii Proグラス2(Tobii社製)等がある。2.対象文献の整理・分析方法動作を伴う視線計測に関する23件の文献を概観し,帰納的に内容を分析した。その結果,使用した視線計測機器,視線の測定方法,注視の定義,対象者数,統計処理方法,分析指標,併用調査について記述されていた。そこで,これらの項目をマトリックスシートに整理し,視線の測定方法や分析方法の妥当性を検討した。Ⅳ.結果1.動作を伴う視線計測の研究領域の概要選定した23件の文献の概要を表1に示す。1998年に動作を伴う視線計測の研究が初めて論文として発表されていた。研究分野は,人間工学,医学,スポーツ,環境工学,心理学,教育に分類された。人間工学に関する文献は8件あり,自動車や自転車運転中のドライバの視線,歩行中の視線に関する文献であった。医学に関する文献は7件あり,トイレ動作や姿勢保持訓練等のリハビリテーション時の視線4件,看護技術を行う看護師の視線2件,調剤作業中の薬剤師の視線1件であった。スポーツに関する文献は2件あり,バスケットボールでリバウンドを行うプレイヤーの視線,野球でバットを振るまでの打者の視線に関する文献であった。環境工学に関する文献は3件あり,消費者行動時の視線,道路標識のデザインへの視線に関する文献であった。心理学に関する文献は2件あり,形態認知やパントマイム動作等の高次機能を要する動作中の視線であった。2.動作を伴う視線の測定方法および分析方法Ⅲ.研究方法1.文献検索方法および選定文献情報データベースは,CiNii Articles,医学中央雑誌Web版(Ver.5),Medical Onlineの3つを用いた。検索キーワードを「視線計測」「アイマークレコーダ」「注視」とし,会議録を除き,視線を計測した文献に限定した結果,「視線計測」では71件,「アイマークレコーダ」では64件,「注視」では129件の文献が得られた(2017年5月10日現在)。さらに,重複文献を除外し,視線計測時に動作を伴う文献に限定した結果,得られた23件を分析対象とした。1)使用されていた視線計測機器選定された文献23件中22件は使用した機器の種類が記載されていたが,1件は不明であった。Nac社製の頭部装着型視線計測機器を用いた研究は20件あり,中でもEMR8,EMR8Bを用いた研究が13件と最も多かった。2008年にモバイル型視線計測機器EMR9が発売され,2011年以降はEMR9を用いた研究が増加していた。2)眼球運動の測定法眼球運動の測定法には,瞳孔角膜反射法,EOG法,強膜反射法等がある。選定した文献のうち,瞳孔角膜反射法を用いた文献は5件で,角膜反射像と瞳孔中心から眼球の回転を計測していた。角膜反射法を用いた22