ブックタイトル同志社看護 第3巻
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同志社看護 第3巻
同志社看護Doshisha Kango Vol.3, pp.21-29, 2018-資料-動作を伴う視線計測に関する文献的考察A Literature Review on Eye Tracking with Physical Motion1天野功士),當目雅代1)Koji Amano,Masayo Toume抄録目的:本研究の目的は,動作を伴う視線計測に関する先行研究から,視線の測定方法,分析方法,対象者数の妥当性を明らかにすることである。方法:文献の選定には,CiNii Articles,医学中央雑誌Web版(Ver.5),Medical Onlineを用い,キーワードは「視線計測」「アイマークレコーダ」「注視」とした。得られた文献のうち,選定基準に合致した文献23件を分析対象とした。帰納的に内容を分析し,機器の条件設定,対象者数,分析指標等をマトリックスシートに整理し,視線の測定方法や分析方法の妥当性を検討した。結果:視線計測機器の条件設定において,眼球運動の測定には瞳孔角膜反射法が多く用いられており,視野カメラレンズには水平角92°のレンズが最も多く用いられていた。対象者と分析処理方法について,対象者5名以下では視線パターンを把握することを目的としており,統計的検定は行われていなかった。一方で,11名以上を対象とした文献では,若齢者と比較した高齢者の視線,非熟練者と比較した熟練者の視線の特徴を統計学的検定から明らかにしていた。分析指標としては「注視時間」「注視回数」「注視項目変化表」「視線軌跡」が多く用いられていた。考察:動作を伴う視線計測から熟練者の技の可視化,新人看護師や看護学生の技術習得,患者教育に繋げるためには,モバイル型視線計測機器を用い,動作環境に合わせた視野カメラレンズ,キャリブレーション方法を選択する必要がある。また,10名以上を対象とした注視時間や注視回数の比較,注視項目変化表の分析より,動作中の思考や認知のプロセスを推定することが可能になると示された。キーワード:認知プロセス,視線計測,注視,アイマークレコーダⅠ.はじめに動作を伴う認知プロセスは,視野・注視点・視線という視覚情報から計測される視線軌跡を可視化することで明らかとなる(大野,2002,pp.569-577)。可視化とは,人の目には見えない事物や現象を映像やグラフ,表等にして分かりやすくすることであり,見える化ともいわれる(大辞泉,2012,p.690)。可視化という言葉は,製造現場において使用されることが多く,製造における設備や品質,労働状況等の生産にかかわるデータを集約し,過剰在庫や欠品を把握するために用いられていた。医療や教育の現場では,術後観察における看護学生の認知を明らかにする研究(高比良・山田・吉田,2016)など,対象者の行動を読み解くために認知や思考を推定する研究が行われている。人の認知や思考は直接目で見ることができないため,これまではインタビューや質問紙等の主観的なデータを用いて分析されていた。しかし,映像技術の発展とともに人の視線を計測する機器の開発が積み重ねられ(桑原,2014,pp.53-54),対象者がリアルタイムで何をどのように見ているのかを可視化できるようになり(蜂巣,2014,p.49),視線を用いて認知や思考を推定する研究が注目され始めている。視線計測ではベテラン技能者や熟練者の言語化できない技やコツを可視化することで技術の伝承が試みられており,先行研究では工芸職人の視線(仁科・久米・高井,2014)や伝統芸能習熟者の視線(阪田・丸茂・八村,2005)が分析されている。また,学習者の視線1)同志社女子大学看護学部Faculty of Nursing,Doshisha Women?s College of Liberal Arts21