ブックタイトル同志社看護 第3巻

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概要

同志社看護 第3巻

5.分析方法視線データの解析は,EMR-dStream2アイマーク解析ソフトウェアver.2.41aを用いた。本研究では観察する眼球運動のうち注視時間,注視回数,観察期待領域移動回数を客観的指標とした。注視時間は0.1秒以上のアイマークの停留した時間,注視回数は0.1秒以上のアイマークの停留した回数(五十嵐・田中・住吉,2014,p.19;横井・箕浦・大津,2014,p.134)とし,領域から領域に移動した回数を領域移動回数とした。静止画像は,分析範囲として観察期待領域を8領域〈顔〉,〈点滴〉,〈酸素吸入・吸引〉,〈膀胱留置カテーテル〉,〈ナースコール〉,〈床頭台〉,〈ティッシュ・ゴミ袋〉,〈付き添い手〉に区分した。観察期待領域ごとに注視時間・注視回数の平均値を算出した。視線軌跡パターンについては,初回注視観察期待領域到達時間,2秒以上アイマークが停留していた観察期待領域,観察期待領域移動回数について検討した。視線計測後に「気づいたこと」,「その気づきから考えられること」,「必要な看護援助」の自由記載の内容は,観察期待領域毎に分類し整理した。6.倫理的配慮本研究は,同志社女子大学倫理審査委員会の承認を受けて実施した(承認番号:69)。看護師より紹介され,研究参加の意思表明のあった学生に対し,研究の意義・目的・方法,研究への参加・協力は自由意思であり,断ることもできること,研究の参加・協力に同意した場合でも,途中で研究を辞退できること,プライバシーや個人情報の保護,測定により得られた研究データの管理と連結可能匿名化により匿名性を保証すること,研究結果を学会発表もしくは学術雑誌に公表することについて文書を用いて口頭で説明し,同意を得た。画面を注視することによる症状(目の乾燥,目のチカチカする感じ,頭重感など)や体調不良の訴えがないかを留意しながら行った。アンケートに回答する際は,プライバシーが確保できるように測定室とは別の場所に誘導し,記載してもらった。得られたデータは連結可能匿名化とした。Ⅲ.結果1.対象学生の概要年齢は20歳3名,21歳2名,矯正視力は全員が0.1以上であった。5名のうち1名はソフトコンタクトレンズを装着していた。学生が3年生の夏までに履修していた実習科目は,基礎看護学Ⅰ実習(外来・病院)1単位,基礎看護学Ⅱ実習(病院)2単位,成人看護学Ⅰ実習(病院)2単位,老年看護学Ⅰ実習(病院)2単位,小児看護学Ⅰ実習(保育所)1単位であった。2.静止画像の観察時間静止画像の観察時間は,平均1分7秒(最小~最大39秒~2分1秒)であった。3.観察期待領域別の注視時間合計(表1)と注視時間割合(表2)5名の注視時間合計は,点滴が66.9秒と最も長く,酸素・吸引39.5秒,顔33.6秒,床頭台32.2秒,膀胱留置カテーテル18.0秒,ティッシュ・ゴミ袋15.5秒,ナースコール6.9秒,付き添い手1.0秒であった。また,今回の5名はそれぞれ見ていた時間が39秒~2分1秒と幅があるため注視している総時間に対する割合を算出した。注視時間割合平均±標準偏差(最小~最大)は,点滴26.1±5.5(19.0~32.5)%,酸素・吸引19.4±4.5(14.3~26.0)%,床頭台14.7±6.3(10.0~23.4)%,顔12.0±3.3(8.5~16.9)%,膀胱留置カテーテル9.4±2.7(7.2~13.0)%,ティッシュ・ゴミ袋7.5±4.1(3.0~13.8)%,ナースコール3.2±1.2(1.6~5.0)%,付き添い手0.2±0.5(0.0~1.1)%であった。表1 1観察観期察待期領待域領別の域注別視の時注間視(秒時)間(秒)(N=5)合計時間平均値±標準偏差(最小値~最大値)点滴133.9 15.9±8.5(12~31)酸素・吸引79.0 11.4±4.0(7~17)顔67.2 7.9±5.5(3~17)床頭台64.3 8.8±4.5(4~15)膀胱留置カテーテル36.1 5.6±2.2(3~8)ティッシュ・ゴミ袋31.0 4.6±2.6(1~7)ナースコール13.7 2.0±1.1(1~3)付き添い手2.0 0.1±0.3(0~1)領域外34.5 4.4±2.5(2~9)14