ブックタイトル同志社看護 第3巻
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同志社看護 第3巻
看護学生の観察時のアセスメント力を視覚情報から可視化する試み護学生の視線の違いを解明し,効果的な技術を習得する教育方法の確立,その方法の妥当性の検証により看護実践能力を高める教育方法の充実が期待できる。今回,看護学生の視覚を通した観察能力の実態を把握し,臨床推論の認知プロセスの習得過程が明らかになれば,学生の準備状況や能力に応じた効果的な看護基礎教育の学習方法を検討することができると考える。そこで,本研究の目的は,看護学生の患者観察の認知プロセスを視覚情報から計測される軌跡を可視化し,アンケート調査による観察内容と思考過程の記述内容からアセスメント力を明らかにできるかを検討することである。Ⅱ.方法1.研究対象学生研究対象学生は,看護師より紹介された,領域実習前の科目を全て履修したB看護大学3年生5名とした。また,その他の条件としては,矯正視力が0.1未満やハードコンタクトレンズ装着者は,視線計測装置による正確なデータ収集が困難であるため除外対象とした。2.調査実施日調査実施日は,2016年5月21日15時~17時であった。3.測定環境場所は,同志社女子大学京田辺キャンパス蒼苑館にて実施した。測定前の説明とアンケート調査は実習室で行い,外部の音をできるだけ遮断するために扉で仕切られた実習準備室に視線計測装置を設置した。視線計測装置は,EMR-ACTUS(Nac製)キャリブレーションフリーを使用した。4.データ収集方法と調査項目視線計測前後で自己記入式アンケート調査票,視線計測のデータを収集した。測定前の項目は,年齢,視力,視力矯正器具の有無・種類であった。測定後の項目は,画像を見て「気づいたこと」,「その気づきから考えられること」,「必要な看護援助」について自由に記載してもらった。調査票はそれぞれ記入後,その場で回収した。視線計測は,まず酸素療法と輸液療法を受けているモデル人形の静止画像(図1)を作成し,教示文とともにプログラムを作成した。静止画像の設定は,輸液ポンプを使い輸液療法を行っている,酸素療法中で吸引も行っている,膀胱留置カテーテル挿入中である,床頭台に吸引の必要物品がある,ギャッチアップして臥床している,ナースコールが枕元にある,ベッド上にティッシュと,付き添いの方の手があるという点に学生が気づきアセスメントを行い必要な援助を考えることを意図した内容であった。次に対象学生に,視線計測用モニターの正面に設置した椅子に座ってもらい,頭部位置表示パネルで測定位置と被験者の頭部の位置が一致し,自動でキャリブレーションが行えていることを確認した後,モニターに教示文「入院している50歳代後半の女性です(6秒)」「必要な援助を考えながら画像を見てください(6秒)」「それでは開始します(4秒)」を示し,静止画像を見てもらった。静止画像は,酸素療法,点滴静脈内注射,膀胱留置カテーテルを挿入,床頭台の上に吸引の物品が置かれている,ベッド上にティッシュの箱があり汚れたティッシュが入ったビニール袋(ゴミ箱)がある,ナースコールがある,付き添いの手がある,などの研究者が学生に観察してほしいと考える領域(観察期待領域)を設定し,どのような順序で観察するかを意図して作成した。図1静止画像13