ブックタイトル同志社看護 第2巻
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同志社看護 第2巻
同志社女子大学看護学部におけるキャリア教育の現状と今後の展望要となってくる。積極的な活動を行うことで能力を発揮し,自己の価値観を形成することにもつながる。価値観は人生観や社会観等,個人の内面にあって価値判断の基準となるものであり,それを行動に移す際に意欲や態度として具体化するという関係にある(文部科学省,2011)。近年,若者に勤労観・職業観を含む価値観が十分に形成されていないことが指摘されており,社会に出たあと,人生に訪れるいくつかの転機に対処するために,また積極的に自分のめざす道を選択し行動に移すためにも,価値観を形成する経験をしておくことが求められている。さらに発達心理面においても,2年次は1年次と比較するとさまざまな葛藤が生じる時期であり,学習面や大学生活にも影響をおよぼす可能性があることが報告されている。これらのことから,2年次授業は,「一年生から二年生への役割の変化」「能力と価値観について」「心理的課題と成長」「語り合い」をテーマに授業を行った。「能力チェックシート」を基に出来ていることの確認を行った。授業や人との交流の場面において具体的に行動出来ていることが現在,身につけている能力であり,社会においてもその能力が生かされることを伝え,シートにチェックをつけた項目の振り返りを促した。価値観が能力の発揮のし方を左右し,働く上では社会に対して望ましい価値観の形成が求められていることを伝えた。「課題に対応する能力」を育てる取り組みとして,「いま気になること・悩み」を書き出すワークを行った。書き出した内容をグループメンバに語る一方,アドバイスや励ましを得て,考えや気持を共有する時間を設けた。1,2年次とも理論の解説と個人・グループワークを行う形で授業を進めた。表1は授業終了後,自由記述シートに寄せられたものから抜粋したものである。表1自由記述の抜粋1年次授業(2016年5月17日,24日実施)?新たな自分を知ることが出来て良かった。自分を見つめ直す機会になった。?自分を知るには人と関わることが必要だと思った。?考えを人と共有することは看護にもつながると思った。?モチベーションが下がったときに「目的」を明確にしておくと立ち直ることができると分かった。?グループワークから,責任性,積極性,協調性,規律性の大切さを実感した。?グループで意見を出し合い,色紙を仕上げた時の達成感が心地よかった。生きていく上で重要な工程であると学ぶことが出来てよかった。2年次授業(2016年5月27日,30日実施)?自分の価値観を見直す良い機会になった。?能力シートをチェックしてみて自分の成長を実感できた。? 2年生になり人間関係も複雑になり,良いことも悪いこともあり悩んでいたが,皆にアドバイスをもらい心が軽くなった。?悩みを共有でき励みになった。コメントをもらい気持が救われた。?昨年の自分と比べると悩みの質が格段に上がっていると思った。?みんな自分と同じように看護の勉強は大変で難しく思っていて,悩んでいることが分かり共感できた。感想から,1年次生は新しい環境において自己理解,他者理解を深めること,目的意識や他者との関係性を築く上で積極性が重要であることに気づく機会になったと考えられる。2年次は,能力面での自己の成長や価値観について振り返り,進級や成人の一員への変化に伴う対人関係の深まりや広がり,学業への意欲や進路への不安など自己に生じる課題を客観的に見つめることが出来た。これらのことが,2年次が抱える課題を明確にし,課題克服への対処のし方を共有することで,「課題に対応する能力」を育て3