ブックタイトル同志社看護 第2巻
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同志社看護 第2巻
れる。また,看護職に就いたものの,その後のキャリア開発や将来のビジョンを考える機会を持たなかったため,節目において主体的なキャリア選択や行動ができない者も少なくない。一方,病院などの臨床現場では新人看護職における一年以内の離職が問題とされる状況が見受けられる。看護職をめざす上での学習動機や専門職になるための目的意識・職業意識を明確にすることが必要だと実感する。キャリアは,その年齢に達すると自然に獲得されるものではなく,心理的・身体的・社会的発達の段階や発達課題の達成と深く関わりながら発達するものである。その発達を促すには,外部からの組織的・体系的な働きかけが必要であり,キャリア教育がその役割を果たすものである。これらを踏まえて,看護基礎教育におけるキャリア教育は社会人・職業人として必要な能力や知識を身につけるだけでなく,看護職として求められる態度や価値観を育てることや,社会で自分をどのように生かし発展させていくのか,中長期視点でキャリア形成を考えていくことが重要である。Ⅲ.看護学部におけるキャリア教育の内容「看護実践総合演習」において実施しているキャリア教育の内容について,キャリア形成の課題を踏まえつつ紹介したい。キャリア教育において社会・職業への円滑な移行に必要な基礎的・汎用的能力の具体的内容として次の能力を育てることが求められている。「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「人間関係形成・社会形成能力」「キャリアプランニング能力」(文部科学省,2011)が示されている。大学初年次は,「自己を理解する能力」を育てることが課題だと考えている。何のためにこの学部を選び,学ぶのか,何に興味があるのか,どのような学生生活を送りたいのか,将来どうなりたいのかなどである。新しい環境で学ぶ自己について理解を深めることは,主体的に目標を設定し,自分らしい生き方を実現していくキャリア開発の第一歩である。自己理解を深めていく学生とそうでない学生とでは,勉強や学生生活への姿勢や態度に明らかな違いが見られる。これらのことから,1年次授業では,「自己理解」「キャリア開発と目標」「ヒューマンスキルを高める」の3項目をテーマに授業を行った。自己理解シートに書いた内容をこれまでの人生で育んできた内的キャリアとして捉え,二人一組になり語り合う。自己開示と他者からのフィードバックが自己理解を深めることにもつながる。互いに自己開示することにより,他者との関係性の深まりが他者と触れ合う喜びをもたらし,新しい環境への適応や目標を実現しようとする積極性につながる(佐々木,2011,pp.126-127)ことが明らかにされている。グループワークにおいても,自己理解と他者理解を深めることをねらいとして,グループメンバと撮影した写真と共に大学での目標や夢を書いた色紙を作成する取り組みを行った。写真1はグループワークで作成した色紙である。写真1グループワークで作成した色紙2年次にあたる大学中間期は,「価値観の形成」や「課題に対応する能力」を育てることが課題としてあげられる。1年次の経験を生かして積極的な大学生活を送るには,自己の課題を克服することが必2