ブックタイトル同志社看護 第2巻

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概要

同志社看護 第2巻

ホスピス・こどもホスピス病院と看護もう少し時間がありますので,子どものことだけでなく成人のホスピスのこともお話ししたいと思います。がんになったら昔は本人に告知をあまりしなかったのですが,最近はがんと分かった最初の段階から本人は告知を受け,こういう治療がありますがどうしますかという風に選択をしながら,治療を受け,いろんな症状が出てきたら積極的な治療と一緒に症状緩和を行っていくという治療が今基本になっています。でも,これ以上もうがんを治すことは難しいですよ,もしくはこれ以上積極的な治療はしないという段階で,どこで過ごすのかという選択を迫られて,ご自宅に帰られますか,それともホスピスとか緩和ケア病棟へいかれますか,療養型病院に行かれますかと聞かれて,ご自宅に帰られる方もあれば,療養型の病院に行かれる方,ホスピスに行かれる方に分かれます。ホスピスと療養型病院の大きな違いは,ホスピスは緩和ケアの専門病棟であるということで,積極的な治療はしませんけれども,積極的な症状緩和の治療は行います。例えば痛みや吐き気,倦怠感等の症状コントロールをいたします。その一つの施設として当院のホスピスがあるのですが,定員が15床で,入院の条件としては,がんであることを本人が知っていることと,これ以上積極的な治療をしないと決めていて,予後が長くても3か月以内,自宅に帰ることを望んでないということです。ここではその人らしく生きることを支援するのを大事にしています。またご家族へのケアも大事にしています。一般病棟ではなかなか家族へのケアは難しいですが,大体これくらいの時期になったらこんな用意をされた方がいいですよ,とかそういうことを含めてご家族にお話しするようにしています。ホスピスのお部屋は,全室個室で,有料個室の場合は畳と洋室の両方あります。いろいろなイベントもしています。またキリスト教病院ですので,チャプレンが一緒に話をするお茶会というのもあります。リクエスト食といって,一週間に一回土曜日の夕方の食事は何でも食べたい物を頼めるようになっています。これはある患者さんの一例ですが,6月の19日に入院して25日に亡くなられました。入院当日は座ってシターの演奏を聞かれたのですが,次の日からもうしんどくて起きることができませんでした。クリスチャンの方で,教会の先生を呼んで自分のお葬式の時に使う好きな讃美歌や聖書の御言葉を選んで準備をすることができました。またご本人の最後の望みで,教会の方にお別れの会をしたいと言われまして,もう,かなり意識は落ちていたのですが,スカイガーデンでお別れの会をして,一人ひとりにお別れの言葉を伝える時を持つことが出来ました。ホスピスでは,ここでどんな風に過ごしたいですかと最初にお聞きして,できるだけご希望を叶えることができるようにしています。ホスピスでの一例をお話しさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院は、2017年3月1日より、淀川キリスト教病院(本院)へ全ての機能を移転しました。51