ブックタイトル同志社看護 第2巻
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同志社看護 第2巻
同志社看護Doshisha Kango Vol.2, pp.37-44, 2017-教育活動報告-看護学部における地域住民参画型教育の取り組みと今後の課題―模擬患者の養成と看護OSCEへの参画支援を通して―The Efforts and Issues of Community-residents' Participation TypeEducation in the Faculty of Nursing-Practice of Standardized Patient Training in Nursing OSCE-杉原百合子1)1,三橋美和)1,小笠美春)1,川村晃右)1,天野功士),1野々口陽子)1,田村沙織)1,續田尚美),看護学部教員Yuriko Sugihara, Miwa Mitsuhashi, Miharu Ogasa, Kosuke Kawamura, Koji Amano,Yoko Nonoguchi, Saori Tamura, Naomi TsugitaⅠはじめにわが国で大学における看護学教育が始まったのは1950年代からである。その後長い間,看護系大学は少数であり,看護大学卒業生は卒業時の看護実践能力を問うより,5年から10年後のリーダーを担う人材として期待されていた。1990年代後半より看護系大学の開設が相次ぎ,100校に達する頃からは,卒業時の看護実践能力が課題となり,文部科学省や厚生労働省から相次いで検討会報告書が提示された(中村,2011,p.2)。2011年の『大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会』報告書では,医療の高度化や入院患者の高齢化,患者の安全の確保や権利意識の向上,入院患者に占める重症患者の割合の増加,地域における看護の対象の複雑化,さらには臨地実習における実施内容が制限される傾向が生じていることが指摘され,卒業時の看護実践能力の強化を課題としている。それらを受け,各大学で看護実践能力の向上を目指した教育が模索されている状況である。本学でも,2015年の看護学部開設に向けた準備を2012年に開始した時期から,「同志社女子大学らしい看護学教育の実践」を目指しており,その基本となったのは,「高度な知識と技術に基づく,多様な看護ニーズに対応できる看護実践能力を備え,医療現場におけるチーム医療に参画できる「質の高い看護師」を養成すること」であった(岡山,2016,p.1)。それを具現化するものとして設置された科目である「看護実践総合演習」では,看護職者としての基本的な姿勢の習得,臨床判断能力の育成とそれに基づく看護実践能力の習得を目指し,1年次から段階的に積み上げていく形で構成している。具体的には,状況設定のシミュレーション学習や臨地実習で遭遇することの多い場面設定によるOSCE(ObjectiveStructured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)により,自己の課題を明らかにし自己学習へとつなげることを目指している。本学看護学部では,OSCEの模擬患者(Simulated/Standardized Patient:模擬患者,以後SP)として地域住民の参画を図ることを目的として,開設1年目から「SP支援ワーキンググループ」を設置し,地域住民によるSPの養成を実施している。SPとは,「生きた教材として患者役を演じる人」のことであり,OSCEにより臨床に近いリアリティを持たせることができるものである。またSPとして地域住民の参1)同志社女子大学看護学部看護学科2015年度SP支援ワーキンググループFaculty of Nursing, Doshisha Women?s College ofLiberal Arts37