ブックタイトル同志社看護 第2巻
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同志社看護 第2巻
京都同志社病院機関誌『おとづれ』第1~3号(1893年)第1号に,看病婦学校の伝道部の活動や当時聖書などを教授していたイライザ・タルコット(ElizaTalcott)による説教の一部が記述されている。また,彼女を中心に伝道部の活動がなされ,入院患者や退院者の家を訪問し,永眠が近い患者への世話,毎週の説教,日曜学校,祈祷会など,積極的な伝道の様子が示されている。第2号には看病婦学校伝道部年報として,1年間の伝道活動が報告され,日曜学校出席者は総数3,234名(週平均63名),説教聴衆総数は1,782名(週平均35名),火曜日集会出席者数710名(週平均17名)とある。また,アメリカン・ボードへの公式事業報告書の病院・看病婦学校第7年次報告書の発刊について,今回は病院と学校,職員や学生の写真などの挿入,病院機関誌の発行や巡回看護の紹介など例年になく充実した内容であり,これらの事業が少しずつ発展していることを報告している。3第6回卒業式と職員送迎親睦会第3号には,6月28日に挙行の第6回卒業式の模様が詳細に記述されている。そのはじめに、「今其概況を報ぜんに國旗を交叉し庭前に數十の救燈を懸け列ね所々にアーチを造れり進んで式場に入れば正面旭日の旗と共に高く教育勅語を掲げ下に故總長新島先生の寫眞を安置し右方には當年卒業生の標語たる『神者我等之盾』なる文字を黄白の?花もて現わしたる大なる盾形の額を掛け」とある。卒業生は10名,会場は看病婦学校講堂である。式次第は,合奏,聖書朗読および祈祷,唱歌,文章,演説,告別の文章演奏,袂別歌(神は我等の盾),袂別の辞(理想の看護婦),誓約,卒業証書授与,祝文,唱歌,祝祷であった。卒業生からの祝辞披露もあり,卒業式の後には茶話会が開かれ,同志社関係者など約150名の参加,大変盛会であったとある。また、「東京慈恵醫院長高木兼寬」と「勲三等醫學博士北里柴三郎」からの祝辞,「神戸多聞教會牧師長田時行」の「卒業生への勸め」,川本「卒業生に告ぐ」,H.フレーザー「理想の看病婦(卒業生諸姉の爲に)」を演説筆記にて記述している。川本は,医師と看病婦は車の両輪のように協力すること,医学の進歩と共に看護もあること,看病婦学校の卒業生としての誇りと責任をもち,看護が高尚で貴重な職業であることを自ら示していくこと,「神は我らの盾」を忘れずにキリストの心をもって世に立つことが重要と餞別の言葉を送っている。H.フレーザーは,「余は今爰に理想的看病婦とは如何なるものなるかその性質を述べ試みに之を諸姉の前に書き出し見んとす」として,7つの項目に沿って詳しく記述している。すなわち、「第一理想的看病婦は其職務を重んず第二理想的看病婦は全く己を忘れて働く第三理想的看病婦は叉同?の念に深し第四理想的看病婦は常に己の看護すべき種々の病者に對し能く之れを適應したる接遇を為す第五理想的看病婦は其職務を為すに最も簡便ある方法を用いんことを學ぶ第六理想的看病婦は何れの患家に至る曾て己が經歴し若しくは他人の實見したる所の事を語らず第七理想的看病婦の備ふる特質中尚一の大切なる事は常に其技能を研かんことに心を用ひ叉已に得たる所のものをも失いざらん事を勉む」である。そして最後に,「・・・世に有用なる業を執り正しき生涯を送りたる先輩の後を慕い諸姉の目前に最も高尚なる標準を定めよ然らば其生涯は歡喜に充ち叉他人にもその歡喜を分かち與ふるを得べし祝福は諸姉の上に有り勝利に其冠たるべし今諸姉我等と分かるるに臨み希くは記せよ親愛なる友ありて深く諸姉の幸福と健康とを?れることを」と締めくくっている。また,卒業式では看病婦の誓約を卒業生全員で述べたとある。看病婦の誓約は,「醫動の鼻祖『ヒポクラテスの誓』なるものあり古来醫師の金戒となり後世醫師たるものの此に因りて裨益を得ること少しとせず現今も尚歐米醫科大學卒業式の時に當りてヒポクラテ-スの誓を用ふるもの少なからずわが看病婦學校に於ても其誓に則り少しく之を變更して看病婦の誓約なるものを定め卒業時に當て公衆の前に宣誓せしむるを例とせり今茲に誓約の全文を掲ぐべし」と説明した上でその全文を掲載している。「吾儂今二ヶ年ノ就業ヲ卒リ看病ノ聖職ニ從事セント33