ブックタイトル同志社看護 第2巻

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概要

同志社看護 第2巻

に就いて」(第1号),「日本に於ける近?眼」(第2号),川本恂蔵の「赤兒の食物に就いて」(第2・3号),佐伯の「各國における授乳時の長短」(第1号),「腹壁切開に於ける看護法」(第2号)の記述であった。看護の面では,H.フレザー(成瀬シズ訳)による「病室の通氣法」(第1号)では換気の意義と効果的な換気方法を解説し,通気法の3箇条を挙げている。また「眼炎について」(第2号)は,眼炎の症状や発症時の洗浄方法,予防法など早期発見治療,予防的な看護を詳細に記述している。いずれも,専門的ではあるが,一般の人々にもわかりやすい表現で,治療面だけでなく疾病予防や健康教育や保育など幅広いケア内容となっている。なお,川本恂蔵(以下,川本)は,クリスチャンの小児科医師で,当時同志社病院の副院長(J.ベリー帰国後に院長)として,看病婦学校での教育にも携わっていた。2)病院・看病婦学校に関する記事病院機関誌発刊前年と発刊当時の病院・看病婦学校の運営や行事,伝道の状況などを詳細に記述している。(1)病院関連1病院の運営状況報告病院の運営状況として,まず患者数について,第1号には1892(明治25)年1~12月の患者総数など,第2号には1892(明治25)年4月~1893(明治26)年3月の入院患者総数や疾病統計などの記述がある。1年間の入院患者が327名(入院日数は延5,542日)で,外来患者は新・旧あわせて11,768名,その前の年より増加とある。疾患は,消化器病,神経系,呼吸器病,皮膚・筋病などである。第2号には病院の収支について,1892(明治25)年4月~1893(明治26)年3月までの収入は6,183円84銭6厘,支出は6,634円14銭4厘で,詳細な内訳も示されている。赤字ではあるが,施薬料などが寄付金で賄われているとある。その他に,病棟増築として,京都はじめ各地方に住む外国人のための外人用病室の新築を挙げている。また,第2号に同志社病院患者規則の中にある入院手続きの方法や入院料金,保証人の必要性,併せて退院手続きの方法など,また外来患者診察局規則から外来診察の受診方法や診療料,受診時のマナーなどを抜粋,わかりやすく具体的に記述している。2巡回看護開始および施療所新設第1号発刊と同時期に開始した巡回看護について,その目的や心得を詳細に記述している。その目的は,次の3項目である。「第一条巡回看護婦は主任醫師の命により患家を訪問看護するものとす第二条巡回看護婦は患家の主婦及其他看病者に實地看護法の要旨と患者に與ふる飲食物の調理方を授くるものとす第三条看護婦は傍ら基督教の眞理を發揚しその實効を現はし斯道より起る所の安慰を患者に與ふることを努むべし」その実際は,看護学生2年生が交代で訪問し,本校々監が責任を持つとある。巡回看護の心得として,巡回看護は夜間はなし,無報酬,主任医師の指示に従う,病床日誌記載,全ての患者に親切丁寧に看護,家族に対してキリスト教主義の道徳をもって実地看護法や衛生教育を行うなどとある。さらに,その巡回看護の拠点となる同志社病院出張施療所について,看病婦はその施療所を中心に巡回し,病者を訪問し看護を行い,必要時は患者を施療所に導くこととあり,毎週2回J.ベリーと川本が出張施療を行うとある。出張施療所は,京都市上京区新富小路仁王門に新築の愛隣舎とある。(2)看病婦学校関連1看病婦学校入学関連や在学生試験実施と卒業生の動向など第2号に,学校への入学要領として,入学志願者は毎年9月10日までに医師の診断書と申込書を添えて申し込むこと,入学条件は満22歳以上で普通教育を受け,身体健全,品行方正,観察敏捷,物事に綿密な女性,入学後全身全力を投じる決意のある者とし,仮入学期間があること,学費は1ヶ月約3円(キリスト教信者であれば学費補助)などとある。また,同号に,3月に実施した在学生の試験状況として,1年生は聖書,生理・解剖,普通看病婦法など,2年生は包帯,小児看護法,産婆学,聖書などの試験を実施,全員が合格,2年生は全員卒業とある。あわせて,開設から36名の卒業生を輩出したが,その後の進路状況を名簿形式で紹介しており,卒業生の多くが母校や京都などの関西圏,中には東京や北海道,福岡などで従事とある。また,第1号にH.フレーザーの父親からの寄付で,1階に教室、2階に学生寮を増築したとある。2看病婦学校での伝道や英文年報の発刊32