ブックタイトル同志社看護 第2巻

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概要

同志社看護 第2巻

3【頸部安静に伴う体動制限】:このカテゴリーは〈ベッド上安静時には体幹は真っすぐ保つ指示を守っていた〉〈体幹捻転禁忌のためロボットのように体全体で動いている〉〈ベッド上側臥位から座位はゆっくり起き上がる〉の3つのサブカテゴリーで構成された。患者は頸部の安静保持に伴い,体幹を捻転しない肢位を余儀なくされている。そのため,医療従事者からは臥床安静時には脊椎を頸部から体幹にかけて一直線に保持するように指導されていた。患者はその感覚をロボットの動きと同じように捉えていた。4【カラー装着に伴う食事動作の困難感】:このカテゴリーは〈開口制限による食事・飲水の困難さ〉〈串刺食の不便感〉〈側臥位での食事の困難さ〉の3つのサブカテゴリーで構成された。患者はカラー装着により下顎が固定され,開口制限を生じる。そのため,飲食・飲水時の食事時の不便さを感じていた。また,安静臥床時期は,側臥位で食事を摂取するため“串刺し食”が提供されていた。しかし,患者は食事摂取に際しては“串刺し食”をさらに小さくしなければ,口に入らないと述べていた。5【カラー装着の負担と安心感】:このカテゴリーは〈カラー装着していると安心して動くことができる〉〈ずっとカラー装着しているのは大変〉〈カラー装着による肩の痛みと不快感がある〉〈カラーが外れても付けているつもりで動く〉〈補助具や装具に頼らないように言われている〉の5つのサブカテゴリーで構成された。患者は頸椎カラーの装着により前屈・回旋の禁忌肢位をとらない安心感を得ていた。しかし,常時カラーを装着しなければならないため,カラー装着による肩こり,体が重たい感じ,閉塞感,かゆみなどの付随症状に伴う苦痛を感じていた。また,頸椎カラーが外れるまでは,意識的にカラーをつけているつもりで動こうとしていると述べていた。6【歩行器を使用するときの注意】:このカテゴリーは〈人や物に気を付けながら歩行器で歩いている〉〈転倒に注意しながら歩行している〉の2つのサブカテゴリーで構成された。患者は手術後2日目で歩行訓練が開始され,1週間程度で歩行器を使用した自立歩行が許可される。そのため患者は,歩行時に転倒に注意していた。また,周囲の人が歩行器歩行している患者を避けてくれたり,患者自身も障害物に注意しながら歩行していると述べていた。7【手術後の身体への影響】:このカテゴリーは〈歩行時足の筋力低下によるふらつきがある〉〈術後の手足の痺れは残っている〉の2つのサブカテゴリーで構成された。患者は手術後には腕の痛みは改善するが,手足の痺れは残存していると述べていた。また,安静に伴う筋力低下のため歩行時のふらつきを感じていた。8【日常生活動作のサポート】:このカテゴリーは〈日常生活動作は看護師の介助を得ている〉〈日常生活で困ることはない〉の2つのサブカテゴリーで構成された。患者は,入院中は看護師が日常生活を介助してくれることや,足の可動域制限は伴わないため,日常生活に困ることはないと述べていた。3.腰椎手術患者の入院中の日常生活動作における体験入院中の日常生活に関する記述は250件で,これらの要約的内容分析により48のコードが得られた。これらは意味の類似性から22のサブカテゴリーに集約され,さらに8つのカテゴリーに分類された(表5)。カテゴリーは【】,サブカテゴリーは〈〉で示す。1【腰部安静に伴う禁忌肢位の遵守】:このカテゴリーは〈してはいけない動作を守っている〉〈前屈みや腰をねじる動作はできない〉〈してはいけない動作をすることがある〉の3つのサブカテゴリーで構成された。患者は腰椎手術後に腰部の安静を保持するため禁忌肢位をとらないことを遵守する必要がある。腰部前屈と腰部回旋の可動域制限を伴う日常生活動作として,臀部や顔の保清動作について述べていた。さらに,禁忌肢位と理解しながらも,腰部前屈や回旋を伴う動作をしてしまう現状があることについても述べていた。2【腰部安静に伴う食事動作の困難感】:このカテゴリーは〈横になったままでの食事動作の困難感〉〈串刺し食での食欲不振〉の2つのサブカテゴリーで構成された。患者は術後腰部安静のため,コルセットを装着した状態で2日間程度のベッド上安静を余儀なくされ,食事もベッド上側臥位の状態で摂取していた。安静臥床時期は,側臥位で食事を摂取するため“串刺し食”が提供されるが,患者は側臥位での食事は食べにくく,食事形態が特殊な串刺し食では食欲がでないと述べていた。3【コルセット装着の負担と安心感】:このカテゴリーは〈コルセットをしていたら安心して動くことができる〉〈コルセット装着により動作が制限される〉〈コルセット装着による不快感〉〈コルセット着脱にはコツがある〉の4つのサブカテゴリーで構成された。患者はコルセットを装着することで,禁忌肢位をとらないで日常生活動作を行うことができる安心感を得ていた。一方,腰部をコルセットで固定されるため前屈動作が制限され,日常生活動作が困難となることや,コルセット装着により,24