ブックタイトル同志社看護 第1巻
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同志社看護 第1巻
同志社看護Doshisha Kango Vol.1, pp.29-37, 2016-資料-認知症の人の意思決定における介護支援専門員の支援に関する文献レビューLiterature Review on Support by Care Managers in the Decision Makingfor Persons with Dementia1杉原百合子)2,山田裕子)1,小松光代)1,山縣恵美),岡山寧子Yuriko Sugihara,Hiroko Yamada,Mitsuyo Komatsu,Emi Yamagata,Yasuko Okayama1)抄録目的:本報告は,認知症の人と家族の円滑な意思決定を支援する方法を探求するために,認知症の人の意思決定における介護支援専門員(以下,専門員)の支援状況と課題を文献から検討した。方法:文献選定には医学中央雑誌Web版およびCiNii Artclesを用い,キーワードを「介護支援専門員」「認知症」「意思(意志)決定」「居宅介護支援」とした。該当した文献から会議録,総説・解説,重複したものを除き,その中から専門員が行う認知症の人の意思決定支援に関する文献8件を選定し,ハンドサーチした3件と合わせ,合計11件を分析対象とした。結果:11件の文献を類似性に従って分類すると,認知症の人に対する説明・同意とその影響を検討した文献,認知症の人への支援から意思決定に言及した文献,高齢者の意思決定支援に関する文献,困難事例の検討から意思決定について言及した文献の4つに分類された。これらの文献から,認知症の人の意思決定における専門員の支援状況として,意思決定の前提である情報の適切な提供が,認知症の人に対して充分行われているとは言えず,意思決定には家族の意向が優先されやすい現状にあることが明らかになった。また,専門員が行う居宅介護支援を困難にする要因として,家族間での意向の不一致や本人のサービス拒否に関する記述が多く,支援が困難になる状況には意思決定に関する問題が複雑に絡んでいることが示唆された。考察:認知症の人に対する意思決定支援に焦点を絞った調査は少なく,居宅介護支援の中での困難事例を検討している文献が多くみられた。意向の不一致や,その調整の困難などの意思決定に関する問題には,認知能力・判断力の低下の問題が潜んでいるが,そこに限局した調査がほとんどみられない。今後は認知症の人とその家族の意思決定に関して,専門員がどのように調整を行い介入しているかの詳細な検討を行っていく必要がある。キーワード:認知症,意思決定,居宅介護支援Ⅰ.はじめに超高齢社会が進展したわが国では,高齢化率は26.0%を超え(内閣府,2015,p.2),認知症の人も急増している。2012年の時点で認知症の人の数は462万人と推計されており,2025年には700万人を超えると見込まれている(厚生労働省,2015)。このような認知症の人の急速な増加はわが国の保健医療福祉の重要課題となっており,2013年には「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」が,さらに2015年には新オレンジプランがスタートした。これらの理念は,地域包括ケアに基づき『認知症になっても本人の意思が1)同志社女子大学看護学部Faculty of Nursing,Doshisha Women's College of Liberal Arts2)同志社大学社会学部Faculty of Social Studies,Doshisha University29