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概要

同志社看護 第1巻

mothers in the areas of childcare knowledge and skills while focusing on the time from pregnancyto childrearing,as well as make active use of telephone visitations and two-week checkups afterbirth to validate their behavior and emotions as mothers while also promoting a sense of successand achievement.Key Words:Childcare stressors,coping,Changes in stress reactions,primipara women,earlypuerperium抄録目的:産後4週間においてストレス反応が強い状態にある初産婦の育児ストレッサー,認知的評価,コーピングの特徴を明らかにする。方法:初産婦70名を対象に産後1週と4週に質問紙調査を実施した。調査内容は,育児ストレッサー尺度,認知的評価測定尺度,コーピング尺度,Public Health Research Foundation Stress Check ListShort Form(PHRF-SCL-SF)であった。結果:産後1週のPHRF-SCL-SFのクラスタ分析によりストレス反応が高群に分類された27名を分析対象とした。産後1週と4週ともに高群に属した持続群12名(44.4%),産後1週は高群,4週は低群に属したストレス軽減群15名(55.6%)であった。この2群を独立変数,4週の育児ストレッサー尺度,認知的評価測定尺度,コーピング尺度の下位尺度点を従属変数としMann-WhitneyのU検定を行った。育児ストレッサーでは,「親としての効力感低下」「育児知識と技術不足」「育児による拘束感」で持続群の方が高得点であった。夜間や授乳後の児の啼泣をとてもストレスと感じる者は持続群6名(50.0%),軽減群2名(13.3%)であり,認知的評価の得点は,持続群の方が「脅威性の評価」で高く,「コントロール可能性」では低かった。コーピングでは有意差はなかった。考察:産後4週間においてストレス反応が高い状態で持続する初産婦の育児ストレッサーや認知的評価の特徴が明らかにされた。これらは初産婦であるため初めて体験する授乳及び児の養育に対する戸惑いや思い通りにすすまないこと,外出の制限等限られた環境での生活を余儀なくされることに起因していると思われる。それらの予防には,看護職者は妊娠中から育児期を視野においた育児知識や技術の具体的な指導を行うこと,産後の電話訪問や2週間健診を活用し,母親の行動や感情を承認して成功体験や達成感の体感につなげることの重要性が示唆された。キーワード:育児ストレッサー,コーピング,ストレス反応の変化,初産婦,産褥早期Ⅰ.緒言初産婦において,産褥早期である1週間は,妊娠,分娩期からの身体の回復と共に,育児技術を習得する時期である。そして,その後の1ヶ月は,夜間の授乳や児の養育による睡眠不足から疲労感の増大や思考能力の低下等も起こりやすい。この疲労感は,子どもへの関心や育児意欲の低下をきたし,子育ての自己犠牲感を生じる(Reva Rubin,1997,p.114)こともある。また,産後1ヶ月において母親の育児負担感が強いほど,産後4ヶ月には子どもを育てることの負担や自分の能力不足を感じる(池田,2001,p.613)。このように産後1ヶ月までの母親の育児に対する受け止め方がその後の心理状態に影響する(小林,2006,p.10)。一方,子どもの側からみると新生児期は,母体外の環境に適応するための生理的変化が生じている時期であり,それが円滑に行われるよう授乳,睡眠,沐浴等を通して,手厚く保護されることが大切である(武谷・前原,1999,pp.162-163)。現在の子育ては,少子化,核家族化,近隣との関係の希薄化により,乳幼児に接した経験もない中,孤立した状況で育児を行っている母親は増加している。このような環境は,母親の育児による負担感を助長し,育児によるストレスが蓄積しやすい状況(堀田・山口,2005,p.7;高橋,2007,p.31;岩崎・野嶋,2007,p.100)であり,育児ノイローゼや産褥うつ病さらに乳幼児虐待等の問題も生じている(川野・江守,2012,p.464)。これまでの産褥早期の育児ストレスに関する研究では,西海ら(2008)は,初産婦133名を対象にした産後7週までの縦断調査により,産褥早期の母親において主な育児ストレッサーは,皮膚のトラブルや体重増加等の子どもの身体のこと,児の啼泣,母親の自由時間や睡眠時間の不足等の生活に関することであり,特に産後2~3週時に心理的ストレス反応が最も強く産後3週までの重点的な支援の必要性を示している。野口ら(2010,p.83)は,産後の276名を対象とした電20