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概要

同志社看護 第1巻

3)本研究の独自性と限界本研究は,京都府亀岡市の地域在住自立高齢者を対象に,2年間の追跡期間を設定して転倒経験を把握した研究であり,より近い将来の転倒予防対策を検討するための基礎資料となり得ると考える。今回は,性,年齢,運動機能等の内的要因を中心に分析しており,生活環境,住環境等の環境要因や社会的要因を加味して総合的,構造的な分析には至っていない。そのため,さらなる内容分析が必要と考えている。Ⅴ.結論2年間の追跡期間における地域在住高齢者の転倒経験とその関連要因について検討した結果,以下のことが明らかになった。1)2年間で,少なくとも1回以上転倒のあった者は35.5%で,女性は男性よりやや高率であったが,有意差はみられなかった。2)年齢区分別では,後期高齢者が前期高齢者より転倒した者が有意に高率で,加齢に伴い転倒しやすくなることが確認された。3)男性では,運動機能,口腔機能,物忘れ,うつ傾向の低い者は高い者に比べて転倒しやすく,とくに運動機能の低い者は,他の要因の影響を調整してもなお独立して有意に転倒しやすかった。4)女性では,うつ傾向とIADLが転倒に影響を及ぼしており,とくにIADLは,他の要因の影響を調整してもなお独立して強い影響を及ぼしていた。また,女性の口腔機能低下は,単独では有意な関連はみられなかったが,独立した要因として転倒への関連がみられた。謝辞:本研究は,文科省科研費基盤研究(A)24240091(代表者木村みさか),挑戦的萌芽研究24240091(代表者木村みさか),特別研究員奨励費23-333(代表者山田陽介)および京都府地域包括ケア推進機構,亀岡市からの助成を受けて実施したものである。協力いただきました亀岡スタディグループ(事務局:京都学園大学渡邊裕也),亀岡市職員,京都府地域包括ケア推進機構職員,関係者各位,ならびに住民の皆様に厚くお礼申し上げます。また,共著者全員に開示すべきCOI関係にある企業などはありません。文献American Geriatrics Society,British GeriatricsSociety,and American Academy of OrthopedicSurgeons Panel on Falls Prevention(2001):Guideline for the Prevention of Falls in OlderPersons.Journal of the American GeriatricsSociety.49:664-672.江藤真紀・久保田新(2000):在宅健常高齢者の転倒に影響する身体的要因と心理的要因.日本看護研究学会誌.23(4):43-58.芳賀博・安村誠司・新野直明他(1996):在宅老人の転倒に関する調査法の検討.日本公衆衛生雑誌.43(11):983-988.浜崎優子・森川裕子・中村幸志他(2012):介護予防事業対象者選定における生活機能検査の参加状況と要介護状態発生との関連.日本公衆衛生雑誌.59(11):801-809.畑山知子・熊谷秋三(2004):高齢者の転倒と身体的・精神的要因との関連.健康科学.26:21-30.「介護予防のための生活機能評価に関するマニュアル」分担研究班,主任研究者鈴木隆雄(2009):介護予防のための生活機能評価に関するマニュアル(改訂版).http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1c_0001.pdf.(2015年12月30日)角田亘・安保雅博(2008):転倒をなくすために-転倒の現状と予防対策-.慈恵医大誌.132:347-371.亀岡市(2012):亀岡市統計書平成24年版.http://www.city.kameoka.kyoto.jp/uketsuke/shise/toke/jinko/h23701nenre.html.(2015年11月15日)亀岡市(2010):亀岡市平成22年国勢調査結果.https://www.city.kameoka.kyoto.jp/bunshokanri/shise/toke/kekka/documents/h22koku6toukeihyou21-30.pdf.(2015年11月15日)川上治・加藤雄一郎・太田壽城(2006):高齢者における転倒・骨折の疫学と予防.日本老年医学会誌.43(1):7-18.木村みさか・奥野直・坂本周亮他(2000):高齢者の転倒と体力について-健康づくり事業に参加した高齢者における調査結果-.体育科学.29:91-105.金憲経(2011):転倒予防のための運動介入の効果と課題.日本老年医学会誌.48(1):39-41.厚生労働省(2005):要介護度別に見た介護が必要となった主な原因.http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/4-2.html.(2015年16