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概要

同志社看護 第1巻

1表3性別にみた追跡2年間の転倒経験に関連する要因のロジスティック回帰分析)-強制投入法-要因表3性別にみた追跡2年間の転倒経験に関連する要因のロジスティック回帰分析? ?-強制投入法-カテゴリロジスティック回帰係数??オッズ比男性95%信頼区間p値ロジスティック回帰係数??オッズ比95%信頼区間p値判定1運動機能? ? 1該当なし→2該当あり???? ???? 1.22~14.55 ????? ???? ???? 0.83~4.76 ?????判定2低栄養1該当なし→2該当あり???? ???? 0.17~7.31 ????? ???? ???? 0.22~35.06 ?????判定3口腔機能1該当なし→2該当あり???? ???? 0.68~2.83 ????? ???? ???? 1.01~4.65 ?????判定4閉じこもり1該当なし→2該当あり????? ???? 0.03~1.58 ????? ????? ???? 0.26~3.56 ?????判定5物忘れ1該当なし→2該当あり???? ???? 0.81~2.74 ????? ????? ???? 0.34~1.22 ?????判定6うつ傾向1該当なし→2該当あり???? ???? 0.81~3.41 ????? ???? ???? 0.88~3.18 ?????判定7IADL 1該当なし→2低い???? ???? 0.81~2.67 ????? ????? ???? 0.19~0.75 ?????定数????????????????????????????注1)年齢を調整後注2)オッズ比は、7判定項目、年齢を共変量として投入した値注3)運動機能判定は本来5項目だが、「過去1年間の転倒経験」は従属変数と重複しているため、削除して4項目とした女性(OR=2.0,p=0.015),うつ傾向(OR=1.9,p=0.045)の低い者は高い者に比べて転倒しやすく(表2),他の要因の影響を調整した分析では運動機能(OR=4.2,p=0.023)の低い者は高い者に比べて有意に転倒しやすい結果であった(表3)。同様に,女性では,うつ傾向(OR=1.8,p=0.045)とIADL(OR=0.5,p=0.036)の高い者は低い者に比べて転倒しやすく(表2),他の要因の影響を調整した分析では口腔機能(OR=2.2,p=0.047)の低い者,IADL(OR=0.4,p=0.005)の高い者は有意に転倒しやすい結果であった(表3)。Ⅳ.考察本研究の目的は,転倒予防のポピュレーションアプローチとして,「自立高齢者」の転倒を予防するため,地域在住高齢者の2年間での転倒経験とその関連要因について検討することであった。調査対象者は,体力測定に参加することが可能な比較的健康度の高い自立高齢者である。また,分析可能な有効回答率は98.3%であったことから,欠損値による大きなバイアスは少ないと判断した。このことを踏まえて以下に考察を述べる。1)地域在住自立高齢者の追跡2年間での転倒経験2年間の追跡期間において,地域在住自立高齢者の約35%は,過去1年間に一度以上転倒した経験があることが推察された。高齢者の約20%が毎年転倒したとの報告(川上・加藤・太田,2006,pp.7-18)や地域在住の高齢者の12.7%~20.8%が過去1年間に転倒したとの報告(新野,1999)があり,筆者らが行った地域在住自立高齢者の調査においても(桝本・山田陽・山田実他,2015,pp.390-401),過去1年間の転倒経験者はおよそ20%であった。これらの先行研究は,過去1年間の転倒経験を調査しているのに対し,本研究では,2年間の追跡期間での調査であることから一概に比較はできないが,総じて言えば,過去1年間の転倒経験の有無を,2年間のスパンに広げるとおよそ15ポイントの増加となり,健康レベルの高い自立した高齢者であっても,転倒は起こりやすい事故であることが示唆された。このことから,転倒予防のためには,健康レベルの低下していない早期から普及啓発をすすめていくことが重要であるといえる。なお,転倒の定義について安村は,「本人の意思からでなく,地面またはより低い面に身体が倒れること」と定義しているが(1999,pp.1945-1949),転倒に関連する国内外の研究がこのように転倒の定義を明確に示したうえで行っているとは限らない。本研究においても,質問紙調査で「過去1年間に転倒しましたか?」と質問しているにとどまっているため,単に躓いてものにつかまったりした場合でも「はい」と回答している可能性も否めない。今後の調査においては転倒の定義を明確にして実施することが必要であると考えている。また,過去1年間の記憶による回答形式について芳賀らは,「おおむね信頼できるデータが得られており,地域における調査では過去1年間の記憶に基づく調査が主流になっている」との見解があることから(1996,pp.983-988),本研究においても,それぞれの調査時点での過去1年間の転倒経験を把握しているため,データとして信頼できるものと考えている。さらに,本研究では性による差はみられなかったが,本研究と同様に全国の地域在住の65歳以上の高齢者を対象に調査した新野ら(新野,1999,新野・小坂井・江藤,14