ブックタイトル同志社看護　第１巻

概要

同志社看護　第１巻

地域在住自立高齢者の追跡2年間における転倒経験とその関連要因いた。本研究の対象者は要介護認定を受けていない者であったが，普段の生活で誰かの介護・介助が必要と回答した者は，男性に2人（0.8％）いた。昼間独居は，男女ともに13％程度が「ない」としていたが，約87％の者は「よくある・たまにある」であった。主観的健康感では，男性88.7％，女性89.5％が「とても健康・まあまあ健康」で，「あまり健康でない・健康でない」は男性11.3％，女性10.5％であった。1）地域在住自立高齢者の追跡2年間での転倒経験表1には，2年間の追跡期間において，それぞれの調査時点のいずれかで過去1年間に転倒したかどうか，性別，年齢区分別に分析した結果を示した。なお，年齢区分は，ベースライン調査時点の年齢から算出した区分である。観察期間は2010年8月から2013年12月までの3年3か月の間で，断続的ではあるがそのうちの2年間（2010年8月～2011年8月と2013年1月～12月）において，少なくとも1回以上転倒のあった者は35.5％であった。女性（37.4％）は男性（33.6％）よりやや高率であったが，有意差はみられなかった。年齢区分別では，後期高齢者42.3％が前期高齢者32.5％より転倒した者が有意に高率であった（p=0.03）。2）追跡2年間での転倒経験に関連する要因表2には，性別に層化して判定項目毎に行った，判定項目を独立変数，年齢を共変量，追跡2年間での転倒有無（非転倒群・転倒群）を従属変数とするロジスティック回帰分析の結果を示した。非転倒群とは，2011年，2013年いずれの調査時点においても過去1年間に転倒していないと回答した者で，転倒群とは，いずれかの時点で過去1年間に転倒したと回答した者である。表3には，判定項目相互の影響を調整して，各判定項目が2年間の転倒経験にどの程度影響しているかを分析するため，性別に層化して7つの判定項目を強制投入したロジスティック回帰分析の結果を示した。なお，これらの分析において多重共線性の有無を確認するため，各変数間のスピアマン順位相関係数を算出し，相関係数ρ=0.011～0.275の範囲であったことから，多重共線性は認められないと判断した。年齢調整後の，追跡2年間での転倒経験と各判定項目との関連は，男性では，運動機能（OR=4.6，p=0.003），口腔機能（OR=2.1，p=0.016），物忘れ男性女性合計表1性表別１・性年別齢・年区齢区分別にみた追跡2年2間年の転間倒の経転験倒経験区分??年齢区分前期高齢者後期高齢者人数(%)非転倒群??????????????????????????転倒群???????????????????????????分析対象数??? ????????? ?????????????????非転倒群??????????????????????????転倒群?????????????????????????????分析対象数??? ????????? ?????????????????非転倒群??????????????????????????転倒群???????????????????????????????分析対象数??? ?????????? ?????????????????男女比較χ二乗検定p値??????????????注1)年齢区分は、H23年8月のベースライン調査時点の年齢区分合計χ二乗検定p値1表2性別にみた追跡2年間における転倒経験回?表２性別にみた追跡2年間における転倒経験に関連する要因のロジスティック回帰分析?－帰各分判析定項）目－毎各－判定項目毎－要因カテゴリロジスティック回帰係数??オッズ比95%信頼区間p値ロジスティック回帰係数オッズ比??95%信頼区間p値判定１運動機能? ? 1該当なし→2該当あり???? ???? 1.69～12.72 ????? ???? ???? 0.76～3.63 ?????判定２低栄養1該当なし→2該当あり???? ???? 0.20～7.70 ????? ???? ???? 0.23～12.21 ?????判定３口腔機能1該当なし→2該当あり???? ???? 1.15～3.88 ????? ???? ???? 0.93～3.49 ?????判定４閉じこもり1該当なし→2該当あり????? ???? 0.23～3.88 ????? ???? ???? 0.40～3.61 ?????判定５物忘れ1該当なし→2該当あり???? ???? 1.14～3.39 ????? ????? ???? 0.45～1.36 ?????判定６うつ傾向1該当なし→2該当あり???? ???? 1.01～3.53 ????? ???? ???? 1.01～3.06 ?????判定７IADL 1該当なし→2低い???? ???? 0.85～2.52 ????? ????? ???? 0.29～0.96 ?????注1)年齢調整後注2)オッズ比は、各判定項目毎に、年齢を共変量として投入した値注3)運動機能判定は本来5項目だが、「過去1年間の転倒経験」は従属変数と重複しているため、削除して4項目とした男性女性13