町家で学ぶ京都の歴史と文化(2015年度)

2016/05/23
第21期

現代社会学部公開講座 第21期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第3回 『伝えたい季節のごはん』~

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開催日:2015年12月12日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:秦 めぐみ氏 [京都 秦家主宰]

秦家は祇園祭太子山を出す町内にあり、会所としての役割を担う。店舗棟と住居棟を中庭と奥庭が繋ぐ表家造りの薬業を商ってきた大店である。庭からの季節ごとに移ろう豊かな表情は、家人の生活のリズムに重なる。重厚な造りの京町家のなかにあって、自然と共に暮らす喜びが身近に感じられる。秦家では年中行事やそれに伴う食まわりが大切に受け継がれている。見学、料理のおもてなし、料理の会などのサロンを通して京都に伝わる生活文化の一端を体験することもできる。


現代社会学部公開講座 第21期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第2 回   『野菜のきもち』~

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開催日:2015年11月21日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:高橋 徹・福子[上賀茂 京野菜農家]

良好な土壌環境により、根が育ち、土の中の微生物が働いて、養分の吸収が活発になる。冬野菜は寒さのなかで水分中の糖度を高くすることによって身を守るため、甘く感じるのである。京野菜農家として日々野菜を見て観察しながら、野菜の気持ちを汲んでやりながら育てている。良い環境の中で育てることは大切であるが、寒さなどある程度の試練を与えることにより、より質の高いものが得られる。そのことは人間についても同じことが言えるのではないだろうか。今後の農業のあり方については安いものが求められる一方で安心、安全に加えて美味しいものが生き残っていけるのではないかと考える。


現代社会学部公開講座 第21期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第1 回   『珈琲って何だ?』~

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開催日:2015年10月17日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:続木義也[カフェ・ヴェルディ代表]

5世紀頃のエチオピアが発祥の地とされる珈琲は薬効があるとされ、15世紀までイスラム社会で広まった。ヨーロッパへ伝播されるのはその後であるが迫害・復権を繰り返し、独自の文化と融合しながら各国へと広まっていく。コーヒーの木はアカネ科コフィア属の常緑樹で、飲用の豆はその果実(コーヒーチェリー)の種子を煎ったものである。珈琲の歴史とよもやま話をうかがいながら、ニカラグア ジャバニカとニカラグア パカマラの2種類の中煎り珈琲を試飲する。爽やかな苦み・ほのかな酸味(ベリー系・シトラス系・フローラル系)・甘味・コクの違いを感じる。精製方法には「水洗式」と天日で乾燥させる「非水洗式(ナチュラル)」に分かれ、さらにこれらの製法の良いところをとったパルプドナチュラルがある。これら製法の違いによる3種類の試飲をするとコクや香り、舌で味わう透明度など違いが明らかであった。最後にカフェ・ヴェルディ特製ケーキとともにオリジナルブレンドを入れていただき、絶妙なバランスの味を楽しんだ。


第20期
現代社会学部公開講座 第20期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第4回 『京の小学校』~

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開催日:2015年7月25日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:小針 誠 [本学 准教授]

明治2年、京都に日本初の学区制小学校である番組小学校64校が開校した。その背景には東京遷都に伴う危機意識や京都の町衆の文化的水準が高かったこと、また教育に熱心な指導者の存在等があった。番組小学校は地域の総合庁舎として、地域の大人も儒学や道徳訓話を聴く場、治安・消防・保健など多機能施設の役割を担い、その運営は京都府と町組で捻出された。戦後の教育改革や平成の行政指導による学校統廃合により、学区意識の変化がみられ、廃校の跡地利用の用途が課題となっている。地域との繋がりや人間関係が多様化する現代だからこそ、歴史から現代の教育のあり方を考える意義がある。


現代社会学部公開講座 第20期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第3回   『生きる力を育む食事』~

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開催日:2015年6月20日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:大原 千鶴 [料理研究家]

自然豊かな環境で生まれ育った経験が食へのこだわりや料理に対する姿勢に表れている。循環する水や巡り来る季節への思い、自然との距離感が近い。好きな言葉に「置かれた場所で咲きなさい。それでもだめなときは下へ下へと根を生やしなさい」がある。段取りをしてゆとりを持つこと、五感を磨き、季節を体感しながら食べ物の命をもらって生きることなどを料理から学び、今後伝えていきたい。料理は人となりを表すものである。


現代社会学部公開講座 第20期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第2回   『京おんなの昔ばなし』~

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開催日:2015年5月23日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:上田 定緒 [故実研究家]

神功皇后は夫である仲哀天皇の死後、のちに応神天皇となる子を懐妊したまま三韓征伐のため朝鮮半島に出兵したと伝えられる。神功皇后に所縁のある桂女は現在では時代祭の中世婦人列のなかの姿を思い浮かべる。頭に桂包みと呼ばれる白い布で覆い、鮎や飴などを桂より売り歩いた。あまり知られていないことではあるが歴史的に桂女は天皇や将軍家での年始、婚礼、出産等があった際には屋敷を訪れ、祈祷を行ったり、世話をして奉仕する役を担っていた。祇園祭の船鉾は神功皇后の出陣、大船鉾は凱旋を表し、占出山は神功皇后が鮎釣りをして戦勝を占った姿を表す。


現代社会学部公開講座 第20期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第1回 『落語三席』~

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開催日:2015年4月18日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:桂 九雀 [落語家]

高橋まきさんの三味線によるお囃子にのって九雀さんが高座に上がると一気に場が和む。約1ヶ月前に亡くなった桂米朝さんとの縁をマクラに、米朝さんが本名中川清と名乗っていた青年の頃の作があったことを披露。そのひとつに「莨(たばこ)道成寺」がある。能や歌舞伎で演じられる「道成寺」に基づいた噺で、日本一の莨飲みと吸い比べをする話から、現在にも通じる嫌煙権をモチーフにした作品。途中に背景となる道成寺の解説を加え、噺の中にお囃子を盛り込む手法もあり、米朝さんの斬新な発想が九雀さん手によって見事に蘇った噺の披露に受講者から温かい大きな拍手が送られた。