町家で学ぶ京都の歴史と文化(2013年度)

2014/07/08
第17期

現代社会学部公開講座 第17期 町家で学ぶ京都の歴史と文化 
~第4回 「うたうこころ-オペラと日本歌曲」~

開催日:2014年1月25日(土)
場  所:同志社女子大学 今出川キャンパス栄光館
講演者:井上 敏典[同志社女子大学音楽学科教授]

荘厳な栄光館に響く重厚さと艶感を感じる井上先生のバリトンの声。解説を交えながら「荒城の月」「からたちの花」など親しみやすい日本の歌曲を最初に10曲うたっていただきました。作詞・作曲者が曲に込めた意図をくみとり、情景が浮かべながらそのメッセージ性を自分なりに表現することが大切。「口を指2~3本位開ける」「骨盤底筋を鍛える」など実際に歌唱指導を体感しつつ、「赤とんぼ」を受講者全員で合唱しました。最後に先生によるモーツアルトとヴェルディのオペラ2曲の披露があり、大きな拍手が起こりました。


現代社会学部公開講座 第17期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第3回 「西陣ものがたり 過去・現在・未来」~

第17期 町家で学ぶ京都の歴史と文化~第3回 「西陣ものがたり 過去・現在・未来」~

開催日:2013年12月14日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:山下 要三[山下織物元会長]

山紫水明処と称される京都で育まれた美意識を縦糸に、時代の変化に敏感な感性を横糸に織りなす西陣織。文学、能やお茶などの文化のなかで華やかに洗練され、歴史の深みによって研ぎ澄まされてきました。京都の軟水で鮮やかに染められた絹織物は古代の天皇や公卿の装束、女官等の衣装を始めとして武士の世を経て、町人にいたるまで、それぞれの時代に即した需要があり、紆余曲折を経ながらも隆盛を極めました。しかしここ数十年間に西陣織関連企業および売上高は激減しており、今のところ全く見通しがつかめないのが現状です。西陣では帯にとどまらず、多種多様な織物が製造されており、伝統文化の息づく京都では需要があるものの、和装離れは深刻化し、また熟練した技能者の高齢化や廃業により危機的な状況にあります。古き良きものを保持しつつ、時勢に応じた発想が求められます。


現代社会学部公開講座 第17期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第2回 「女性と茶道」~

第17期 町家で学ぶ京都の歴史と文化~第2回 「女性と茶道」~

開催日:2013年11月30日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:筒井 紘一[裏千家今日庵文庫長]

会津で生まれ育った八重は27歳になった明治4年、兄の山本覚馬を頼って京都へ移り住み、やがて新島襄にめぐり合い、新たな人生を切り開いていきます。近代化が進むなかで封建的な空気が依然として残る激動の時代を生きた八重。襄や覚馬を看取った後、篤志看護婦の傍ら茶人としての人生を前向きに生き、裏千家の茶道を発展させる起爆剤的な存在となりました。八重が88年の生涯をたくましく生き抜く力の素地を育んだのは会津であり、運命的な出会いを通して身につけた教養は、幕末から昭和を豊かに生きたかけがえのない女性へと高めました。八重が歩んだ道は時空を越えて、現代人にも示唆と勇気を与えてくれるようです。


現代社会学部公開講座 第17期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第1回 三味線 造って 弾いて・・・~

第17期 町家で学ぶ京都の歴史と文化~第1回 三味線 造って 弾いて・・・~

開催日:2013年10月12日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:野中 智史氏 [三味線職人]

三味線には太棹・中棹・細棹があり、それに伴い胴の部分の大きさも変わり音色のボリュームが変化します。長さが約1メートルほどある棹はコンパクトに持ち運びができるように3つに分かれる組み立て式になっています。継ぎ目をぴったりと合わせるためのホゾ穴を始め、各所にほどこされた微妙な細工によって音色が左右されます。花街に生まれ育ち、棹師として三味線に携わる野中先生の小唄や端唄等からは三味線との一体感とともにお座敷の情景が目に浮かぶようでした。最後の締めとして太棹に変えて演奏された津軽じょんがらは雰囲気が一変し、迫力ある素晴らしさに大きな拍手が起こりました。

 

第16期
現代社会学部公開講座 現代社会学部公開講座 第16期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第4回 装いの文化史―十二単から新島八重のドレスまで―~

第16期 町家で学ぶ京都の歴史と文化<br />~第4回 装いの文化史―十二単から新島八重のドレスまで―~

開催日:2013年7月20日(土)
場所:今出川キャンパス 楽真館
講演者:清水 久美子(本学特別任用教授)

唐衣裳(十二単)は、『源氏物語』には色の重ねなどが登場人物の境遇や人柄を反映して表現される、平安時代を代表する「雅な装い」です。戦国武将が台頭する時代には戦勝祈願・生命保持・自己顕示・威風誇示などを表すユニークな「武の装い」が見られます。時代が下がり、新島八重が京都で過ごした明治時代は洋装化が推進されます。進取の気風・復活・再生への意欲を示す八重は、当時まだ珍しかった「洋の装い」を受け入れていきます。講座に引き続き、レンガ造りの建物を窓から眺めながらケーキと紅茶を楽しみました。その後、福島の復興支援として再現された八重のドレスも展示されている同志社女子大学史料室で開催中の「新島八重と同志社女学校」を清水先生に解説していただきながら見学しました。


現代社会学部公開講座 第16期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第3回 ブラウン管の向こう側~

第16期 町家で学ぶ京都の歴史と文化~第3回 ブラウン管の向こう側~

開催日:2013年6月15日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:山本 壮太[古典の日推進委員会ゼネラルプロデューサー・元NHK京都放送局長)]

平成23年の統計によると日本人の一日平均テレビ視聴時間は3時間28分。かなりテレビ好きだと言ってもよいでしょう。しかし日本人はメディアから一方的に得られる情報を過信する危険性があります。ニュースとして伝えられる事実には制作者による加工がなされていることを知った上で、複数のメディアを比べてみることも必要となります。情報を鵜呑みにせず、しっかりと読み解くという姿勢が肝要です。公共放送であるNHKが言論の広場的な役割を担えることを局の制作に携わってきた側のひとりとして願っています。


現代社会学部公開講座 第16期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第2回「奈良のお寺・お社御用達―宮大工の仕事」~

第16期町家で学ぶ京都の歴史と文化~第2回「奈良のお寺・お社御用達―宮大工の仕事」~

開催日:2013年5月18日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:瀧川伸[株式会社瀧川寺社建築 代表取締役]

伝統的木造建築の復元・設計・施工、寺社の建造物の維持管理などを主な業務とする瀧川寺社建築株式会社。平成15年の倒木により被害を受けた国宝の長谷寺災害復旧工事の事例の紹介が、現場の写真を提示しながらありました。「不易流行」、つまりいつまでも変化しない本質を忘れない中で、伝統の技術を守ることは、一方では技術改革など、新しく変化を重ねているものを取り入れていくことが求められています。講演の締めくくりに語られた「平成の宮大工集団として後世の人に恥じない建築をこれからも残していきたい」という力強い言葉が印象的でした。


現代社会学部公開講座 第16期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第1回「和食の大切さと食育の真の目的」~

第16期町家で学ぶ京都の歴史と文化~第1回「和食の大切さと食育の真の目的」~

開催日:2013年4月20日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:鵜飼治二[懐石近又 店主]

日本料理のおもてなしには物質的に豊かになった日本人が忘れかけている「食育」の本当の大切さが生きています。海や山で育まれた動植物の命をいただいていることや食するまでに多くの人の手がかかっている過程に気づき、感謝して食することが肝要です。講座では利尻昆布のみとかつおを加えた2種類の出し汁や削り鰹の試食などがあり、参加者にはうまみの中に食の原点をあらためて考える機会となったようです。目に見える「もの」と心で感じる「こと」が融合するおもてなし。老舗懐石の店主・料理人として、おもてなしの心を五感で味わうゆとりについて食育を通して伝え、食文化の普及に努めたいと考えます。