町家で学ぶ京都の歴史と文化(2011年度)

2013/12/24
第13期

現代社会学部公開講座 第13期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第5回「空海と平安京」~

開催日:2012年2月25日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:佐伯俊源[種智院大学教授・西大寺清浄院住職]

空海は真言密教を伝えた僧であり、科学者・書道家・土木工事にも携わったとされる歴史上の実像と、弘法大師として崇められた信仰上の偶像がオーバーラップして捉えられています。この世そのものを浄土にするために社会活動を実践する都、京都と密教の修行の場、鄙の高野山という二つの世界を往還した空海。こうのように中心が二つある楕円の生き方は行き詰ったときに別の世界を持っていると救われることにも通じます。講義の後は大きな茶碗に点てられた抹茶を回し呑みしていただく西大寺の茶儀、大茶盛を参加者全員で楽しみました。


現代社会学部公開講座 第13期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第4回「京都本」の舞台裏~

現代社会学部公開講座 第13期 第4回「京の酒Bar」

開催日:2012年1月21日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:日沖桜皮[紙媒体編集制作会社「桜風舎」主宰]

大判ヴィジュアルガイドブックからハンディー型、1冊ごとにテーマを絞った雑誌や季節性を重視した季刊誌等。書店の京都関連のコーナーには雑誌が所狭しと並び、ふだんは京都に特化しない女性誌等でも切り口を変えた京都特集が頻繁に組み込まれます。京都本の出版数が他の観光地に比べて群を抜く状況において、マスコミとの共同作業によって観光都市として相乗効果が得られる一方で、京都の機微を無視した乱暴な編集も目につきます。広告収入による判断の難しさもありますが、京都文化の真髄を求め、情報の真偽を見極めつつ、マスコミと京都が一緒になって息の長い京都観光に繋がるムーブメントを起こすことが出版する側にも求められているのではないでしょうか。


現代社会学部公開講座 第13期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第3回「京の酒Bar」~

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開催日:2011年12月3日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:西田稔[Bar K6、Bar KUGEL、祇園GHOST、KASKのオーナー]

シャンパーニュがグラスに注がれると真珠粒にもたとえられる細やかな無数の華麗な泡に目を奪われます。シャンパーニュに魅力を感じ、その深みを知り尽くしているのがシャンパーニュ騎士・グラッパ騎士の称号を受けた西田稔氏。バーテンダーとしてカウンターに立ち、さりげなくしかも人には真似のできない精緻を極めた一杯を作る姿勢は厳しく隙がない。シャンパーニュをいただきながら、嫌なことは上にのぼって消え果て、良いことはどこからともなく湧きあがってくる不思議な泡の持つ魅力の扉を開いて見せていただくことができたようでした。
また、講演前にマンドリン、マンドラ、ギターによる演奏がありました。


現代社会学部公開講座 第13期町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第2回「禁裏・公家町・京都御苑」~

~第2回「禁裏・公家町・京都御苑」~

開催日:2011年11月5日(土)
場  所:今出川キャンパス純正館 S401教室
講演者:朧谷寿[同志社女子大学名誉教授]
天野太郎[同志社女子大学准教授]

最初に同志社女子大学准教授・天野太郎先生により近世から近代にかけての京都御苑における公家町集住の経緯、ならびに明治2年の明治天皇の東京遷幸にともなう公家町の変遷について。さらに明治10年の明治天皇還幸以降、外周築地の造成・九門の外周移設・旧公家町内の緑化事業などが行われ、現在の姿に至るまでを絵図を見ながら辿りました。次いで同名誉教授・朧谷寿先生からは平安京における内裏および里内裏から現在の地に禁裏として形成される経緯と藤原道長の栄華の舞台となった土御門殿について史料にもとづく解説。眼下に京都御苑を望みながらその経緯をうかがうことにより、変容の歴史のベールが一枚ずつ剥がされて明らかになる思いがしました。


現代社会学部公開講座 第13期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第1回「うつくしきもの-御所人形の世界」~

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開催日:2011年10月15日(土)
場  所:京まちや平安宮
講演者:五世 島田耕園 [御所人形作家]

白い肌にぽっちゃりした三頭身の子供の姿をうつした御所人形。御所人形としての歴史は江戸時代に遡りますが、日本には古来より稚子の無垢な姿に幸せな世界や善なる心の表れを見出してきました。これらの思いを託し、子の成長に願いを込め、気高くうつくしきものとして御所人形が生まれました。そこには日本人の哲学が凝縮されていると言っても過言ではありません。御所人形作家として今の時代をどう表現するか。本筋は守りつつ、時代を超えてあるべき姿を心のなかに感じてもらうのが役割だと語る島田耕園先生のメッセージには、伝統工芸に日本人の心を託す熱い願いが込められていました。

 

第12期

現代社会学部公開講座 第12期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第4回 「<今出川キャンパス パイプオルガンの演奏と講演> 同志社オルガンの歴史 」~

7月23日(土) 場所:京田辺キャンパス7月23日(土)

場所:京田辺キャンパス

パイプオルガンは紀元前に起源をもち、17~18世紀のバロック時代に全盛期をむかえ、現在のものに近い仕掛けのものが製作されました。栄光館には日米の懸け橋となり日本の女子教育に大きな足跡を残されたデントン女史の功績により、戦前にオルガンが設置されました。現在使用されているのは1980年に備えつけられたカナダのカサバン・フレール社製のもの。高橋聖子先生によりバッハ作曲「トッカータとフーガ二短調」をはじめとする3曲が演奏され、栄光館ファウラ―チャペルは荘厳な音色に包まれました。その後、実際に鍵盤に触れたり、かつてのオルガンのパイプを見学し、国の登録有形文化財に指定されている赤レンガ造りの洋館、ジェームス館へと移動。オルガンの響きの余韻を残しつつ、ケーキと紅茶をいただきながらこれまでの町家講座とはひと味違った洋風レトロな雰囲気を満喫しました。

 

現代社会学部公開講座 第12期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第3回 「京料理のひみつ」~

6月18日(土) 場所:京まちや平安宮 6月18日(土)

場所:京まちや平安宮

京都・伏見墨染に佇む数寄屋造りと庭園がみごとな料亭旅館「清和荘」。ご主人の竹中徹男先生は自ら包丁を握る傍ら、日本料理の本物の味と技術を国内外に伝えるための指導、および小学生を始めとする地域食育セミナーにも携わり、だしの味・野菜のうまみを次の世代に伝えようと力を注いておられます。料理の味には甘味・塩味・酸味・苦味などがありますが、精進料理などの影響を受ける京料理はそれらに加えて、だしの「うま味」をうまくいかした文化であると言えます。特に京都の水はだしのうま味を引き出すのに適しています。最高級の利尻昆布とふんだんに使ったかつお節で一番だしのとり方を実演していただき、参加者は試飲しながらだし本来の持つ味を実感するとともに、インスタントや添加物が含まれる現在の食品を見直し、食文化本来のあり方を考える機会となりました。

 

現代社会学部公開講座 第12期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第2回 「楽しい書の世界」~

5月21日(土) 場所:京まちや平安宮5月21日(土)

場所:京まちや平安宮

日本漢文学・和漢比較文学が専門の同志社女子大学教授、本間洋一先生は書道の指導者でもあります。「書は人なり」、字の面白さを学び、そこから一歩踏み出して自分らしいものを作って進化し、字に感情を表現するのが書家。形よりも大事なのは線質です。人間の厚みは線質の深さとして表れます。書を楽しむには字の形にこだわらなくても良いように、漢詩も自分で作って楽しむものです。デモンストレーションを交えた本間先生のユーモアあふれるお話はまるでトークショウ聴いているようで、難しいと敬遠しがちな漢詩や書道の世界の楽しさを身近なものに感じることができました。
講演前に本学音楽学科生による生演奏があり、ヴァイオリンとオーボエによる音色を楽しみました。

 

現代社会学部公開講座 第12期 町家で学ぶ京都の歴史と文化
~第1回 「安倍晴明公と陰陽道」~

4月16日(土) 場所:京まちや平安宮4月16日(土)

場所:京まちや平安宮

晴明神社には平安時代に陰陽の術を学び、天文を解して事変を予見し、その呪力が称賛された安倍晴明公が崇敬の対象として祀られています。自然界に存在する万物は陰と陽から成るとする陰陽思想。それに木・火・土・金・水に由来するとの五行思想が組み合わされた陰陽五行説は自然現象に関わるすべての因果関係を表し人間界の吉凶を占われる実用的技術として受容されるようになりました。「人間は自然の中にあって、中心にいて支配するのではなく、サイクルに身を委ねることが求められています。」とおっしゃる山口琢也宮司様。晴明神社には超人的な晴明公にあやかろうと大勢の老若男女の参拝客でにぎわっています。
町家文化講座第12期の第1回目で多数の参加者があり、講師のお話に耳を傾けていました。講演終了後、本学音楽学科生による生演奏があり、今回は木管三重奏(フルート、オーボエ、ファゴット)による音色を楽しみました。