第7回《Vine》講座を開催しました

2019/11/13

開催日|2019年10月5日(土)

第7回《Vine》講座

講演「前例がなければ作ればいい」

講師:青野浩美氏
講師プロフィール:京都市出身  同志社女子大学学芸学部音楽学科演奏専攻声楽コース卒業
同大学音楽学会《頌啓会》特別専修修了、京都音楽家クラブ新人演奏会、京都芸術祭「デビューコンサート」、同志社女子大学音楽礼拝、「青野浩美リサイタルコンサート La Preghiera/祈り」他多数出演 第16回ありのまま自立奨励賞受賞(2014)
京都光華女子大学健康科学部医療福祉学科言語聴覚学科在籍中  お母様、妹様ともに同窓生
著書「わたし“前例”を作ります 気管切開をした声楽家の挑戦」クリエイツかもがわ出版

 

第7回《Vine》講座は初めての卒業生講師、会場が今出川キャンパス楽真館ラーニング・コモンズイベントエリアと、まさに「前例のない」講座となりました。

青野さんは会場に差し込む明るい日差しによく映えるブルーのドレスで登場されました。講座一曲目は「♪野ばら」。お母様のピアノ伴奏で歌う青野さんの柔らかな歌声に会場は優しい空気に包まれ、その後も講座は歌を交えながら進みました。

声楽家を目指し、明るく希望に満ちた学生時代を過ごしていた時、青野さんは突然、障がい者になりました。寝たきり、車いす生活、余命宣告、声を失う可能性がある気管支切開・・・と次々に苦難が襲ったのです。

悲しみに打ちひしがれた日々もありましたが「話したい!歌いたい!」という強い気持ちが「前例がない」ことに挑戦する力となりました。青野さんは「歌は立って歌うもの」「病院で扱いのないメーカーの医療器具は使えない」「カニューレ(※)を装着して歌うことはできない」という前例にはとらわれませんでした。車椅子を歌唱に適した形に工夫し、病院から提示されたカニューレ以外を試せるよう医師に(筆談で)直談判したのです。その結果、青野さんは「車椅子でも、気管支切開してカニューレを装着していても美しく歌える」ことを証明しました。その陰にはご家族の支えと「やらずに無理というな」をモットーとしたご家庭の教育方針がありました。

青野さんは「前例がない」と言われても「やりたいことを諦めるのは残念。誰からもアドバイスを貰えない辛さはあるが、前例がないことにぶち当たったら作ればいい!」と力強く語りました。

「辛い時期もあったが、この体のおかげで全国に講演に出かけられる。次は私が言語聴覚士になり、皆に恩返しをしたい。このように考えられるようになったのも車椅子生活、気管支切開をしたからで、今は自分の体に感謝をしている」と締めくくられました。

朗らかなお人柄からは想像もできない苦しみを乗り越えられた青野さん。彼女と彼女を支えるご家族に同志社女子大学の同窓生としてこれからもエールを送り続けたいと思います。

※カニューレとは気管切開手術後に切開部から気管内に挿入して気道の確保などに用いる管

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