現代社会学部公開講座 第25期 町家で学ぶ京都の歴史と文化 ~第4回 『学生がみた被災地~これからのまちづくり~』~

2018/02/23

講師:Team同女[同志社女子大学]

東日本大震災が発生し、もうすぐあれから7年が経過しようとしています。被災地では今もなお復興作業が進められていますが、その現状を報道などで目にする機会は当時よりもめっきり減ってしまいました。今回は、そんな私たちの知らない被災地の知られざる現状を同志社女子大学現代社会学部社会システム学科の天野太郎教授と、同志社女子大学現代社会学部の研究会活動の一環として復興支援に取り組む復興支援研究会の「Team同女」の学生メンバーに「学生がみた被災地」と題してお話を伺いました。

同志社女子大学復興支援研究会は、2011年3月11日に発生した東日本大震災を契機として、その直後より現地の被災地支援、仮設商店街の活性化やまちおこしをテーマとして復興支援活動を行っている研究会で、当初は学生の「自分も何かしたい」という想いのもと立ち上がり、募金活動から活動を開始したそうです。現在では東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県名取市閖上地区や岩手県の陸前高田市、南三陸町の仮設商店街を訪問し、三陸沿岸における津波被害への対応や、福島第1原子力発電所に起因する放射能被害・風評被害に立ち向かう地域の支援をテーマとして、現地活動を行っているそうです。

今回は、そんな東北復興支援活動を通しての活動を復興支援研究会の4回生の学生に「学生から見た宮城県名取市閖上」、「仙台市被災地の2つの小学校からみた地域」、「福島のいま~安全と安心を結びつける~」と題してそれぞれ発表して頂きました。津波到達のラインや津波の被害にあった小学校に建ったお墓、もともと住宅街だった場所が津波で草原になってしまった被災跡などを写真やビデオを通して被災地を見ることで、今もなお残る津波の爪痕から津波の恐ろしさを感じました。3つの発表を通じて思ったことは、やはりどの地域も「防災対策」や「防災教育」といった災害への備えが浸透している場所が少ないという点です。日本は海外と比べ自然災害が多い国だからこそ、命や防災について考えることは重要なことであると思います。いつ、どこで、どんな地震、あるいは津波が起こってもおかしくないですし、そういう場所に住んでいるのだということを認識し、そこにおいて、いかに自分の身を守っていくか、家族や地域の安全を守っていくか、そういうことをまず意識しながら生活していくことが一番必要で大切なことなのではないかと発表を聞き思いました。

ただ、時間が経つにつれて東日本大震災の現状を見ていた世代が減っていき、社会の意識の変化とともに学生の関心も薄れつつあるようで、「Team同女」のメンバーも現4回生を除くメンバーの数は3名しかいないようです。このように学生が被災地へと実際に足を運び、被災地の抱える問題点や現状を、震災の記憶を風化させないように積極的に発信する活動を行うことで、犠牲になる人を一人でも少なくできるのではないかと思いますし、世代が変わってもこの活動が絶えず続いていくといいなと思いました。