表象文化学部では、「表象文化Café」と題し、おおむね月1回、表象文化学部の教員が自身の研究やその周辺の事柄について話す会を開催している。この会は、従来教員有志に表象文化学部のFD活動「表象文化Café」 よって行われていた「わたしの最前線」という研究会を学部の行事としてリニューアルし、教員会議の後に順番に発表することにしてはどうかという提案(2021年6月)から始まった。当初の会議では、負担の大きさと、それに対する効果の曖昧さについての質問や意見が寄せられ、折しもコロナ禍の最中であったこともあって、一度提案は見送られることになった。学部運営委員会では、その目的が明確でなかったことが問題だったと考え、実施の目的を、①学び合う教員、②学び合うキャンパスの雰囲気の醸成、③両学科のコラボレーションのきっかをを作る、という3点に定めた。また、その目的の達成のため、①①短時間(20分程度)で、②ランチタイムに、③ラーニングコモンズで行う、という、学部教員にとどまらない、学生を含めて外に開かれた自由なシステムの中で行う案をまとめ、2021年10月の学部会議に再提案して実施が決定した(その際、上記の実施時間帯や場所等は、あくまで標準であり、非公開にすることも含め、都度、担当者が決定することを定めたが、現在のところ、他の形態で行われた回はない)。 開始から1年が経とうとしているが、毎回、担当者は自主的に決まり、授業を終えた学部の教員が足早に集まってくる。聴衆には学生・職員・退職教員の皆さんの姿もあり、「学び合う学部・学び合うキャンパスの醸成」という目的は達成されているように見受けられる。今回のプレゼンテーションに当たり、教員にアンケートを取ったところ、「興味深い」「とても楽しい」「学部の先生方の専門分野や人柄に触れる良い機会」「こういうアカデミックな場があることが素晴らしい」「自分の授業の語り口や方法を考える上でも参考になる」「自分を見直すきっかけになった」「教員の研究と学生の関心とをつないでくれる場となっている」「研究とは本来楽しいこと。身をもって学べるそんな時間を共有できることがすばらしい」といった意見が寄せられた。その理由として「昼休みの20分という時間がちょうどよい」といった意見のほか、「授業や研究報告のような正規の枠組みにとらわれずに知的な話題を提供することができる」「『押し付けられる』『やらなきゃいけない』『参加しなきいけない』感がない」「自由なのが良い」など、その「自由さ」「自主性」を挙げる意見が目立った。課題としては「学生の参加が思ったより少ない」といったことや、「ターゲットが学生なのか教員なのか曖昧になっている」といった点が挙げられ、場所や時間に多様性を持たせることで改善できるのではないかといった前向きな提案も寄せられた。 最初に却下された案が、このような「楽しい会」として、また、有意義な学び合いの場として学部教員の間で定着しつつあるのはなぜか。ひとつには、現在の形は、そもそもの最初の提案も含め、当初の会議で出た反対や懸念など、学部教員個々の率直な意見によっ83表象文化学部 森山 由紀子 Faculty Development
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