薬学部でこれまでに行ってきたFD活動(①~⑤)を紹介する。 ① パフォーマンス評価とルーブリック(2015年度) 「薬学部におけるFD活動」 薬学部 芝田 信人 薬剤師国家試験は薬学に関する知識を担保するものであるが、大学は学生が卒業する時点において、豊富な薬学知識を礎にした薬剤師としての技能・態度の質をも社会に対して担保する必要がある。このため、薬学教育では学習成果基盤型教育を実施していく必要があり、大学はディプロマ・ポリシー(DP)を定め、そのDPに到達した学生を卒業させなければならない。従って、修学の適時に形成的評価を実施し、DPへの到達度を測定する基準を作成しなければならなかった。そこで、ルーブリックの作成法を教員が学び、基礎薬学研究、薬学研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲについてのパフォーマンス評価のルーブリックの完成に役立てた。 ② イマドキ学生への伝え方(2016年度) 大学教員は、小、中、高校の教諭のように、教職課程を修了していない。学生にとって親和性のある講義を行うには、今どきの学生気質を理解したうえで、適切に講義を実施しなくてはならない。学生から見たイケていない授業には、教科書の丸読み、写経、ポイントが判らない、自分の興味ある分野だけをしゃべる、禁止系ルールを作る、つまらない授業なのに寝ていると怒る、よく当てる、先生が高圧的、などの要因があった。また、良い授業の参考として、具体例・体験談を豊富にする、使える知識を伝える、ポイントをわかりやすく提示する、難しい単語の意味を1つ1つ丁寧に説明することにつきる、という要因があった。また、学生の中には、生まれつき睡眠効率が悪く十分寝ても眠い人、睡眠時無呼吸症候群の人などがおり、教員側からすると「よく寝る学生だ」と考えてしまう場合があること、さらには、発達障害、アスペルガー、パーソナル障害などの疾患がある場合には、教員は「反抗的な学生だ」と考えてしまう場合があることも共有した。このような特性や疾患を持った学生が全体の3~5%存在することを教員は認識して対応すべきであるという教訓を得た。 ③ 実務実習における態度教育について(2020年度) 薬学教育では、薬剤師としての技術・態度を涵養しなくてはならない。そのため、5年次の実務実習では、薬剤師としての態度教育がますます重要となってくる。実務実習における学生の態度教育を充実させるべく、学外実務実習に関連する学生指導法について研修を行った。内容は、実務実習に際して学生が厳守すべき事項、学生が実習終了後に書く実習先へのお礼状の添削、医療施設見学後の報告書の添削などにおいての指導ポイントを共有した。また、実習期間中、学生がとるべき態度として、薬剤部(薬局)職員の方々に対する呼び方に気を付けさせること、必ず「~先生」と呼ばせること、院内(薬局内)での携帯電話の使用は一切禁止させること、休憩時間中であっても節度ある態度で臨ませること、17時以降や休日に開催される勉強会へ積極的に参加するよう指導することが重要であることを共有した。また、学生のお礼状などの添削を通して、初期の教養教育として、1年次生には文章81 Faculty Development
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