「生活科学部のFD活動」 -2学科2専攻がそれぞれにActive Learningにチャレンジ- 生活科学部では組織的なFD、特に研究面での取り組みは出遅れているのが実情である。これは今後の課題とすることとして、今回は教育に関するFDについて、アクティブ・ラーニングを中心に活動内容を紹介する。まず、本学部では毎年3月の学科懇談会において、FDフォーラムに参加した先生方からの情報提供と共有を行っている。また、管理栄養士専攻の卒業前の総まとめの科目である「卒業演習」の成績査定では、教員の新陳代謝により若い教員が増えたこともあり、そもそも我々はどういう管理栄養士を育てたいのかという原点に立ち返って喧々諤々の議論を行っている。これはまさにFDである。さらにコロナ禍でどの学部学科でも全面的な遠隔授業を行うという事態に直面したが、生活科学部は体験型の実験実習が多いことを売りにしているため、これらの授業をどうするかが大きな問題となった。 調理系、被服系、製図系、実験系など共通の悩みを持つ担当者間で相談し、未経験の本格的なICT教育にチャレンジすることとなった。 次に、プロジェクト的な取り組みを紹介する。生活科学部でも遅まきながらそれぞれの学科専攻においてアクティブ・ラーニングの学びを取り入れた活動を始めている。このうち 人間生活学科のグリーン・ツーリズムと食物科学専攻の食品開発プロジェクトは、スタートアップとして教育基金援助金の助けを得た。また、食物科学専攻と管理栄養士専攻の取り組みは、京都市との食に関する包括連携協定に基づいた活動となっている。 人間生活学科では、学科の学びの柱の一つである「まちづくり」分野において、まちづくりや観光といった実践的活動を通して地域への関心・理解を高め、地域資源の活用方法を学ぶ観点から、2年次の「地域計画学演習」では京都府と連携した鴨川における防災学習やハザードマップの作成を、「居住計画学」では地域の団体と連携し綾小路界隈におけるフィールドワークを行っている。また、2019年度に立ち上げた グリーン・ツーリズム(農山漁村での体験型旅行)は、京丹波町の自然景観等の資源を生かしたプログラムを学生自身が企画し、一般参加者応募型のプロジェクトを運営することで、参加者に考慮すべきサービス、運営側の心構えなど多角的に学ぶ内容となっている(コロナ禍により2020年度から中断)。 参加学生は21名、一般参加者は延べ8組27名で、そばの種まき、収穫、そば打ちと試食という計3回のモニターツアーを実施し、参加者から大変好評を得た。 食物科学専攻では、2019年度から新カリキュラムがスタートした。 学びの目玉となるのが本格的なPBL科目である3年次選択科目「食品開発プロジェクト」で、一年を通じて協力企業の下で新商品の開発等を目指す。初年度の2021年度は5チーム(各チーム7~8名)に分かれて企業から与えられたテーマの中で活動した。新しい味付けの商品開発とパッケージデザインを行い、実際に店頭に並ぶまでこぎつけたチームもあれば、社内試食会でのプレゼン止まりだったチームもあった。1年目のため全体を振り返るには至っていないが、評生活科学部 川﨑 祐子 72 Faculty Development
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