FDreport_vol16
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第3に、他の教員の授業の内容から自分の授業の学部全体における位置取りを認識できた点である。多様な領域に及ぶ学部内で、自分自身の授業が学生の学びのなかでどのような位置づけかをあらためて確認できたと思われる。例えば多文化教育が教育方法の授業内容とどう関連しているかを学生の視点から再認識する際に有用だったのではないかと推察される。 第4に、以上の認識は学部全体のカリキュラムを考える土台になっていくと思われる。カリキュラムは時代の要請に応じて少しずつ変えていく必要があるが、これまで積み上げてきたFD研修は将来に向けての学部の方向性を共に探す共同体にとっては有益になるであろう。カリキュラムマップで提示された授業名とディプロマ・ポリシーに定める到達目標の位置づけが実際にイメージできたのではないだろうか。 現在も現代社会学部は1ヶ月に1回の学部教員会議の前に「チョコっとFD」が行われている。前述したように、現在では自分の授業の紹介だけではなく、自分の研究についても紹介する。授業と研究紹介のどちらかを選んで短い時間の中で発表するのだが、研究紹介も行われることで、今まで知らなかった分野の研究にも触れることができる点は、研究者にとってはとても「お得」で、新たな視点を得られる時間となっている。またコロナ禍においてコミュニケーションが少なくなっていく中で、学部内の新たなコミュニケーションの場として、新任教員にとっても経験豊富な教員にとっても互いに学び合う「チョコっとFD」が一種の潤滑油となっているのではないだろうか。 69 Faculty Development

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