もちろん、デメリットはあったと思います。教員の負担が非常に大きかった、それから、取り残される学生が少なくなかったということです。いってみれば、学生が集う場としての大学が機能しないというような、デメリットも多かったと思います。ただ、いろいろな意味で、大きな気づきを与えてくれました。従来の授業に、やはり欠けていた点があったのです。後で申しますが、典型的なことは、遠隔授業はどうしても課題を出さざるを得ないのです。それから戻ってきて、また次の授業をするということです。講義をして、授業中に学生はそれを聞いていて、教室外で学習をして、それで、次の授業に行くというサイクルを作らざるを得ないのです。そこができるのだと分かったということです。 もう一つは、こういうことをやりますと、授業の透明性をある程度作らなければなりません。遠隔授業の場合に、他の人が見てはいけないように工夫するなどということがありましたが、基本的にやはり公開性なのです。やろうと思えば学生の方が、他の人が見てもいいわけですから、あまり教室の中のような勝手ができないのです。ある程度、きちんとやらざるを得ないというところは、そのような語弊があるかもしれません。反論があるかもしれませんが、謹んでお受けいたしますが、そういったことが出てきたのではないかと思います。総じて、遠隔授業は、ある程度やることはできます。それから、メリットとデメリットがあります。従来の授業に欠けていた点があったということを明らかにできて、これをどう活かすかということが問題だと思います。 これは、大学の先生に、「遠隔授業の経験をどう活かすか」ということをお聞きしました。 52 Faculty Development
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