FDreport_vol16
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暗記の時間があります。暗記を復唱する『リバティシオン』というような雑誌が作られて、非常に厳格な伝統を持っていました。それが、19世紀の終わりに、あまりにカリキュラムが固定的だと、いろいろな要素を入れられないということで、エレクティブといいますか、学校を選べるようにしたのですが、そのときに、同時に単位制を導入しました。日本の大学も124単位ということで、基本的には戦後に、アメリカのモデルを導入したものです。 ただ、日本ではよく理解されていないことは、何かそうすると、非常に細切れになっているように聞こえるのですが、かなりの主要な大学では、単位制はこのままなのです。単位制にしているのですが、基本的にはコースというような形で、1週間に2回、3回の授業をやって、かなりまとまった学習をするということが、一つの単位になっています。そこで授業をやって、学生が学習して、やはり、暗記まではいきませんがさまざまな課題を出して、それをまた教師に提出する、そのフィードバックが行われる、そのように完結したものが、一応、基礎的なモジュールになっているわけです。単位制は、アカデミックユニットといいますが、それよりもむしろ、モジュール制と言った方がいいかもしれません。要するに、学習がいくつかのモジュールに分かれていて、それを積み重ねて大学教育とするということが、アメリカ型の考え方です。 日本は、戦後にアメリカ型の教育を入れるときに、このモジュール制ということを、実は、あまりそこまで考えていませんでした。単位制をとにかく入れることで精一杯だったわけで、単位制を入れることについては、相当抵抗している大学もたくさんあるわけです。そういう意味では、モジュール型というものが、アメリカの基本的な考え方です。日本の大学は、この二つの考え方は、まだかなり混交しているということが現実であります。それを一応、頭に置いておいていただいて、次に、日本の大学教育の基本的な問題について、少し申し上げたいと思います。 1.大学教育の基本問題 基本的によくされることですが、日本の大学の教育は、授業に出席している時間は大体、大学設置基準で要求されているとおりに、この頃は出席するようになりました。少し前までは欠席している人が多かったけれども、この頃は大体、授業に出席しています。しかし、授業外での学習時間は少ないということです。これは、日本とアメリカを比較したものですが、ごらんになると分かりますように、下の方から、毎週の授業外での学習、教室外での学習時間です。 44 Faculty Development

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