FDreport_vol16
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これは、日本の戦前の大学に非常に大きな影響を与えたわけです。これは、近代大学のモデルと言われています。しかしもう一方で、イギリスを通じてアメリカの大学にも、中世の大学の伝統は受け継がれていまして、これは大体、19世紀の終わりから20世紀にかけて、非常に大きな変革をしました。それが、いわゆる現代大学と言ってもいいのだと思いますが、その原型を作っています。 日本の大学は、戦前の基礎の上にアメリカの大学の影響を受けて、一応できています。ここの間にかなり、まだ接合できていない部分がいろいろとあって、それが、いまだに解決できない問題があるわけです。その後、1960年代から大衆化が起こって、日本の大学は、非常に猛拡大してきたわけです。このように、かなり歴史的なさまざまな経緯を経て、現代の大学の問題ができていて、そこに複雑な点があるのだということを、まず申し上げておきたいと思います。 (2)教育の理念・方法 一応かいつまんで、ドイツ型の歴史とアメリカ型の歴史にどのような問題があるのかということだけ、少し申し上げておきます。 ドイツ型は、基本的には学問の自由といいますから、学習の自由ということがモットーで、あまり学生の勉強には干渉しない方がいいのだ、必要なことはゼミナール研究室で、卒論と国家試験で一応終了するのだという考え方です。ドイツの場合は、卒論というものがありますが、要するに、学位論文です。今日ご出席の先生方に、アメリカの大学のご経験の方があるかもしれませんが、アメリカの大学の特質は、これはあまり日本では理解されていないところがあるのではないかと思うのです。一つは、リベラルアーツの伝統があるわけです。リベラルアーツは、この字面からごまかされると、かなり自由にやっていいように見えますが、実は、アメリカのリベラルアーツ教育は、非常に厳格なのです。大体、毎週やる時間割は決まっていました。それから、大体、暗記が主にありまして、毎日朝は43 Faculty Development

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