5(2)AI・ロボットにできないことは? AIやロボットにできないことってなんでしょうか。私たちがいろいろなことを、知識を集めて再生産していくということは、ロボットに最もうまくできる部分です。新しい三つのリテラシーは、AIやロボットというのは機械でできているわけですけれども、技術について知ること、そしてそこから生まれるデータについて知ること。そして人間だからこそできるヒューマンリテラシー。そういった三つのリテラシーを新しい人材養成の目標とした上に、コアカリキュラムとしては、四つの認知的能力。批判的思考、システム思考。アントレプレナーシップはわかりやすいですね、起業家精神です。そして四つ目はわかりづらいのですが、異文化アジリティ。異文化に対する対応能力をアジリティといいますが、俊敏性です。そういったものが求められると予言をしています。2017年です。2.3つの新しいリテラシー、4つの認知能力 さて、新しい三つのリテラシーとはなんなのか、四つの認知能力とはなんなのか。それを、うまくカリキュラムにのせるにはどうしたらいいのでしょうか。 ジャーナリストのマイケル・フォードは、『ロボットの脅威』という中で、産業構造が変わったときにどんなことが起こったのかを論じます。ラッダイトという運動があったんですね。これは、ジェニー紡績機という織機が登場して、トヨタもその織機の生産拠点だったわけでしょうけども、職を奪われた職工たちが役割を転換したり、または情報化時代に多くの製造業が一掃されたように、ラッダイト運動は、機械が仕事を破壊するから、機械を破壊しようという運動だったわけですけれども、それが現代でも起こってきています。テクノロジーが人間の仕事を置き換えようとする中では、自動化、グローバル化、スキルの高い少数労働者の生産性向上が労働価値を抑制し続けるということで、大変な状態なわけです。 アメリカの19世紀、その昔起こったことは、公立小学校は読み書きのできないアメリカ人を引き上げました。日本でも明治期に何が起こったかといいますと、学校ができて、北から南まで標準語が話せるようになりました。ラジオやテレビ、新聞で、私たちは全員が読み書きができるようになったんですね。第二次世界大戦以降は、公立カレッジや大学がその役割を果たします。高度な知識やスキルを教えてきました。そしてさらに今は、創造性が要求要だと論じます。 人間特有の創造性と柔軟性の育成を目指す学問分野のことを、ヒューマニクス。これは人文学とちょっと違うんですね。ヒューマニクスという新しい枠組みを、経験学習プラス生涯学習でもっていく必要があろうと論じるわけです。
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