Faculty Development ままととめめ 30, 594名(2020年度春学期は28, 902名)という膨⼤な授業アンケートへの参加者数が⽰す通り、本学にとって貴重なリソースとなった授業アンケート。結果分析を⾒られてどのような感想を持たれたでしょうか? 冒頭でも述べたとおり、対同年度春学期⽐で、回答者が7.5%、⼈数で約3600名(延べ)も減少している危機的な状況にあるのには変わりはありません。教育開発⽀援センターとしては万全と思った対策を講じたにも関わらず回答率の減少に⻭⽌めをかけることができなかったことには多少の無⼒感と抜本的な改⾰をする必要を感じる所です。3つの⽅向性があると思います。 59⼀つの⽅向性は実施の⾃律性です。現在は全学として共通項⽬の授業アンケートを実施しています。⼀⽅で、学部・学科のカリキュラム向上にはその学部・学科に特化した質問項⽬が必要となると思います。例えば、私は現在英語英⽂学科に所属していますので、学科の科⽬を通して「英語の運⽤能⼒が向上したかどうか」尋ねてみたい気持ちになります。もちろん、これは満⾜度や到達⽬標達成度からうかがい知ることができますが、カリキュラムを変える次のステップにはなりにくいのが実情です。もし、学部・学科の独⾃質問項⽬を含めるようにすれば、そのための議論も沸き起こると思いますし、結果についてもより⼀層多くの教職員が興味関⼼を持って頂けるようになると思います。 ⼆つめの⽅向性はDWCLA10に象徴されるような本学の教学にとって極めて重要な項⽬を定期的に⾒直すことです。STEM (Science, Technology, Engineering, Mathematics)など近年よく⽬にする⾔葉に踊らされる必要はないと思いますが、2021年同志社⼥⼦⼤学FD講習会で講演をして頂いた杉森公⼀先⽣が紹介されておられたような「4つの認知能⼒」(アウン、2020)などを参考に「New DWCLA10」に発展させてゆくことが肝要であろうと思います。DWCLA10は教員にとっても学⽣諸姉にとってもいわば学びの灯台とでもいうべきものです。分かりやすくかつ未来を切り拓くキーワードが⼤切だと思います。 三つ⽬の⽅向性はビッグデータの活⽤です。IR(Institutional Research)やDX(Digital Transformation)という⾔葉をよく⽿にしますが、この授業アンケートの結果をAIを使いまたは専⾨職のデータサイエンティストによってより詳細かつ有効に分析する必要があると思います。教育開発⽀援センターには専任教職員は存在しません。兼担の中で職員の皆さんには規定の仕事以上の創造的な活動をして頂いています。今こそ未来を⾒据えて授業アンケートという貴重なデータを有効に活⽤するより組織的活動を始める時期です。教員のみに振り返りシートの作成を依頼するのではなく、⼤学としての振り返りとしてのデータ分析が必要となると思います。カリキュラムとしては来年2022年度に「(仮称)データサイエンス基礎」を全学共通科⽬として新設することが検討されています。これは学⽣の数理・データサイエンス・AIへの関⼼を⾼め、それを活⽤する基礎的な能⼒を育成することを⽬的とするものですが、それと同時に教職員にもまた本学の教学にもこのデータサイエンスの視点が必要であると思います。 教育開発⽀援センターの構成メンバー(教員・職員)は年々変わってゆきます。しかし、メンバーが変わろうとも、変わらないものがあります。それは同志社教育の原点である「良⼼教育」を⼤切にしようとする姿勢です。更に、良⼼教育が発展し「教員の授業内
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