FDreport_vol15
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4 (1)2020年から2021 年を振り返って さて、昨年2020年から2021年、どんな年だったでしょうか。苦しい年が今でも続いております。石川県もまん延防止が9月の末まで延びてしまいました。この前期も北陸大学では4回キャンパスを閉鎖してオンラインに切り替え、また対面を復活させ、そういったことをしました。私も6科目臨床検査・臨床工学の学科で教えておるのですが、6つの授業がオンラインになったり対面になったりということで、苦しんだ感じもありました。 その中では、緊急遠隔授業。デジタル化やオンライン化がもたらされてしまいましたので、大学教職員が史上空前のFD研修への参加者数を経験し、テクノロジーと授業づくり。つまり、全員がLMSやZoom、Teamsを使うことを余儀なくされました。大学教職員と学生にとっては対面の価値が、今回もそうですけれども、オンラインで出会うことはできても、私は同志社女子大学に出かけることはできません。一斉に孤立をしてしまったというところで、対面の価値が問い直されています。授業や学生生活、教育、研究に関わるすべての、もともと持っていた課題が顕在化し、そして可視化された時代なのかなと思います。 そのことは『ROBOT-PROOF』の中でもすでに予見されていた部分があります。特に、ロボットというのは知能機械や自動機械のことですけれども、AIに代表される産業の第4次化、情報化になっていきますと、この「デジタルとロボット」革命の時代は、ビッグデータ、AIと密接になっておりまして、例えばIBMのワトソンというAIは、聞いたことあるかもしれません。スローン・ケタリング病院での腫瘍専門医です。レントゲンの画像を機械学習して、普通のがん専門医以上に発見ができてしまう。教育の分野でも、ニューヨーク市公立学校システムで教師役を務めるなど、進展がありました。 代表的な論説では、フレイやオズボーンが言っていますのは、20年以内にアメリカでの仕事の半分が自動化。10年で金融分野でロボット・アルゴリズムが、もうすでにやっていますが、3分の1から2分の1がもう売り買いしているわけですね。人間が行っている有償の仕事の約半分が自動化され、2兆ドル以上の人件費が支払われなくなる。 こちらが「消える職業」「なくなる仕事」ということで週刊誌に出ているものです。 どうでしょう。電話のオペレーターとかパラリーガルがなくなるなんて掲げられています。大学教員は一応この中にはなさそうです。ですけれども、こういった時代に、2020年代以降生きる子どもたちと私たちが、少子化・グローバル化に加えて、ロボット化。直面する時代です。 こういった中で、新しい産業を創生する高等教育の役割が再提議されてきています。これは第4次革命だということですけれども、技術革命の時代にもすでにこれはあったんですね。情報化時代には、製造業が一斉に転換を行っています。高等教育は、複雑化するテクノロジー分野の産業やキャリアとのギャップを埋める役割がこれから求められていますし、この『ROBOT-PROOF』という本の中では、ボストンにあるノースイースタン大学の学長が書いている。ジョセフ・アウンは言語学者です。理論言語学者ですけれども、人文系のレンズでもって、または大学運営のレンズ、ものの見方でもって言いますのは、学生を専門家にするだけではない、クリエイターとして育てるべきだと。知能機械がルーティーンから解放して、経済社会をデジタル時代に転換する中でも、耐ロボット性、ウォータープルーフをもじってロボット・プルーフといいますけれども、それを保証する新しいカリキュラムが必 結果、金沢大学を辞めることになってしまったわけです。恩が本当はあったのですが、タフツ大学のFDセンター、教育学習センターの調査・研究をした結果、自分で北米型のセンターを作りたいという気持ちがあるところに、今、私立大学、4000人規模のそれほど大きくない大学なんですけれども、新しくセンターを立ち上げて、センター長教授として勤務をしているということです。

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