Faculty Development 国際社会システム研究科では、2019年度から研究科委員会の会議直後の春と秋の2回、FD研修会を行ってきた。2021年度は新入生も多かったことから、大学院生のそれぞれの状況を把握して指導に活かすために、直接の指導教員だけではなく全教員で大学院生のこれまでの経歴や研究の進捗状況について情報共有を行った。2021年度の春学期における遠隔授業の際にも、昨年度から取り組んでいるFD研修会が効を奏して、大学院の授業においてはおおむね順調に行われた。 ◇国際社会システム研究科 「〈多様な大学院生の状態の把握に努めて〉~国際社会システム研究科のFD活動」 国際社会システム研究科長 塘 利枝子 大学院生は、国籍、年齢、学歴や職歴など学部学生とは異なり様々である。現代社会学部卒業後すぐに本研究科に入学した者、社会に出て教員等他の職業を経験した後に本研究科に入学した者、他国からの留学生、日本国籍を持っているが日本以外の国に長期滞在していた者など多様な構成となっている。卒業後の進路も公務員、教員、一般企業、海外での就職など多様である。したがって各大学院生が持っている経験値や在籍年数も異なり、修士論文のテーマも様々である。また研究分野や方法論もそれぞれ異なる。これまでも修士論文の中間報告会、最終報告会、修士論文の査定等を通して、各大学院生のテーマ、方法論、内容などを各教員は把握してきた。また指導教員はそれらの点に加えて、各大学院生の生活・健康状況や論文進捗状況について細かく把握しながら指導を行ってきた。しかし国際社会システム研究科に関わる全教員が、大学院生の詳細な状況まで把握しているとは言えなかった。 そこで各教員が担当する授業の中でも、各大学院生の状況を全教員が細かく把握することで、よりよい指導につなげることができるのではないかと、毎年春秋学期開始時にFD研修会の中で院生に対する情報交換を行ってきた。特に特別支援の配慮が必要な院生の状況については、個人情報に配慮しつつ情報共有したり、緊急事態宣言下での遠隔授業の方法について情報交換を行ったりした。教員によっても大学院生の見方が異なり、情報を交換することで、新たな指導方法の観点を見出すことができ、有意義なFD研修会となった。 さらに大学院生の研究進捗状況をより細かく把握するために、中間報告会に加えて、2020年度より毎年1月に「研究進捗状況報告書」を大学院生に提出させている。この報告書に基づき、全教員がすべての在学生の研究内容を把握することができ、それぞれの指導の質を高めることにつながっている。国際社会システム研究科は、指導教員の研究方法論も多様であるため、今後は修士論文提出時における研究科共通の形式を整えていくことが課題である。 2022年度には日本語を母語としない大学院生が入学してくることとなっている。国際社会システム研究科としては、上記の「研究進捗状況報告書」も活用しながら、FD研修会を継続することで、学生のニーズや状況に合わせた丁寧な指導を今後とも行っていく予定である。 39
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