Faculty Development ◇生活科学部 「コロナ禍における管理栄養士専攻の臨地・校外実習の対応」 生活科学部食物栄養科学科 今井 具子 今年度も大学の授業はコロナ禍の影響を受けている。実験実習が多い本学科は、学生の学びを深めるため、極力対面での授業を実施してきた。配慮学生には対面授業と平行して遠隔授業を実施する等のハイブリッド型も採用し、授業を進めている。 本学科の管理栄養士専攻は管理栄養士養成校として、4週間の臨地・校外実習が求められる。従来は3年次の秋学期に事前指導を含む演習科目を実施し、4年次に進級する前の2月に臨床分野(病院)2週間、給食分野(高齢者福祉施設・保育所・事業所の給食施設等)1週間、4年次の6月に保健所臨地実習(保健所分野)1週間分の、合計3施設で4週間の臨地・校外実習を行っている。 2020年度は対面で臨地・校外実習の事前指導等の演習を行い、79名の学生を20の病院(29グループ)、30の給食施設(40グループ)に配当した。しかし、2021年1月以降、緊急事態宣言が順次発令され、4月の段階では臨床分野は44名を1週間の学内実習に切り替え、23名は4月以降に実習を延期した。給食分野では34名を学内実習に切り替え、2名は実習延期を余儀なくされた。配当前より実習生受け入れ中止の連絡を受ける施設も多く、実習延期後の日程設定にも苦慮したが、各分野に担当教員を複数配置し、臨地・校外実習を中心に行う事務担当を置く体制により、コロナ禍により刻々と事情が変わる中で煩雑な日程交渉作業を続けることができ、全実習生に少なくとも1週間は臨床分野の実地実習を確保できた。また実習生には感染症予防管理について事前指導で徹底し「検温・体調点検表」、「行動記録」を遵守させるように準備し実施する一方、実習先の理解を得るために本学での感染症対策についての学生指導の取り組みをまとめ、学部長名で実習先の施設長に理解を求めることができたことによるものと考える。 2020年2月末には、文部科学省・厚生労働省からの事務連絡として、管理栄養士養成のための臨地・校外実習もコロナ禍の実情を踏まえ年度をまたいでの実習や、学内実習の実施に差し替えても良いとされた。本学では学科内の同意を得て、臨床分野では9月に学内実習を行うこととし、臨床分野の教員を中心に1週間の実習内容を組み立てた。振り替え実習では、遠隔授業システムを使って第一線で活躍する病院の管理栄養士9名による近年注目されるホットなテーマの講義を配信した。実習生は講義に関連したグループワーク及び成果発表を行い、講師より助言を得た。また、web上に仮想病院を立ち上げ、医療機関で活用されている栄養管理システムと同等の環境を導入した。実習生は、このシステムを通じて実践に近い病院給食や臨床栄養管理を疑似体験した。振り替え実習でも臨地実習で体験する核心の部分を担保できるように設定できたのは、学科の理解を得て準備期間を設け、マンパワーや媒体の準備ができたことが大きい。給食分野では、日本給食経営管理学会プログラムをもとに1週間の学内実習を行った。 36
元のページ ../index.html#38